第9回:“定着支援計画”の作成が未来を変える!中長期的な人材戦略へ
― 技能実習から特定技能へ、未来の管理職育成も見据えた制度設計
📍 はじめに:ただの義務で終わらせない「定着支援計画」
2019年から導入された「特定技能」制度において、外国人材の雇用企業に求められているのが「1号特定技能外国人支援計画(=定着支援計画)」です。
これは単なる“チェックリスト的な対応”ではなく、企業と外国人がともに成長する“キャリア設計の出発点”になるはず。
今回は、技能実習から特定技能への移行や、長期的視野での人材育成につながる制度設計のコツをご紹介します。
📘 定着支援計画とは?改めて基本をおさらい
- 対象:1号特定技能外国人を雇用する企業
- 提出義務:雇用開始前に地方出入国在留管理局へ提出
- 内容:
- 生活オリエンテーション(医療・交通・災害対応など)
- 日本語学習の支援
- 相談対応窓口の設置
- 職場での相互理解の促進
- 転職時の支援対応 など
✅ 要件を満たさないと「雇用不可」と判断されることも
🔄 技能実習から特定技能への「連続した支援」がカギ!
よくある問題
- 技能実習で支援していた内容が「特定技能に引き継がれていない」
- ビザ更新や業務範囲の違いによる混乱
- 管理団体からの支援がなくなり、企業内での支援ノウハウが不足
対応ポイント
- 支援計画を“職務と成長段階”で設計する(例:3年後に班長補助)
- 元技能実習生の定着インタビューを活用して“当事者視点”の計画に
- 社内OJTと日本語教育支援のセット設計
📈 中長期戦略としての定着支援計画の活かし方
フェーズ | 企業側の設計視点 |
---|---|
1年目(導入期) | 業務習得・生活基盤の支援+基本的マナー教育 |
2〜3年目(定着期) | 班長補佐・新人指導など“社内での役割”を与える |
4年目以降(成長期) | リーダー候補としての語学・管理教育の支援 |
🧭 日本語能力の向上が、業務効率だけでなく社内評価・昇格につながる仕組みも重要!
🛠 支援制度を仕組み化するためのヒント
- 支援担当者向けの進捗管理シートを導入(例:生活面・語学・メンタルの3軸チェック)
- 外部専門家との連携(行政書士/日本語教師/外国人支援NPO)
- 社内SNSや翻訳ツールの活用による情報の多言語化
✍️ まとめ:定着支援=“未来投資”。戦力化と育成は両立できる
定着支援計画を「義務」と捉えるか、「未来の管理職候補育成」と捉えるか。
その差が、企業の競争力と社内の信頼形成に直結します。
人が育つ現場には、「一緒に働き続けたい」と思える空気が流れています。
その第一歩が、あなたのつくる“定着支援計画”かもしれません。