3.「外国人材の定着支援にDXを活かす〜教育・勤怠・相談の仕組みづくり〜」
はじめに:採用はスタート、定着がゴール
外国人材を採用した後、企業が直面するのは「定着支援」の課題です。
「仕事はできるけど、すぐ辞めてしまう」「生活面での不安が多い」「社内コミュニケーションがうまくいかない」など、現場ではさまざまな声が聞かれます。
そこで今回は、教育・勤怠・相談支援の3つの観点から、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した定着支援の方法をご紹介します。
課題①:教育・研修がうまく伝わらない
- 📚 マニュアルが日本語のみで、理解が難しい
- 🎓 OJTが属人的で、教える人によってバラつきがある
- 📱 スマホ世代の外国人材に合った学習スタイルが必要
👉 解決策:動画マニュアル+やさしい日本語+多言語字幕
- YouTubeや社内共有ツールで動画マニュアルを配信
- やさしい日本語+英語・ベトナム語などの字幕をつける
- AI音声読み上げで、視覚+聴覚で理解を促進
課題②:勤怠・業務管理がアナログ
- 🕒 タイムカードや紙の出勤簿でミスが多い
- 📋 業務報告が口頭中心で、記録が残らない
- 📉 勤怠不良や業務ミスの傾向が見えにくい
👉 解決策:クラウド勤怠+業務記録アプリの導入
- 勤怠管理アプリ(例:KING OF TIME、ジョブカン)で出退勤を記録
- 業務報告をLINE連携やスマホアプリで簡単入力
- データを蓄積し、傾向分析や改善提案に活用
課題③:相談・コミュニケーションが不足
- 🗣 日本語での相談が難しく、悩みを抱え込む
- 🧍♂️ 孤立感が強く、職場に馴染めない
- 🧭 生活面の不安(住居・病院・役所手続きなど)が多い
👉 解決策:相談チャット+生活情報の多言語発信
- 社内相談窓口をLINEやSlackで設置し、翻訳機能を併用
- ChatGPTなどのAIチャットで、24時間対応の相談環境を整備
- 生活情報(病院・役所・交通など)をやさしい日本語+多言語で発信
行政書士としての視点:制度と現場の橋渡し
定着支援は、在留資格の更新や変更にも関わる重要な要素です。
制度的には「適正な雇用管理」が求められ、現場では「安心して働ける環境づくり」が鍵になります。
行政書士として、私は以下の支援を意識しています:
- 雇用契約・業務内容の明確化と記録の整備
- 勤怠・業務報告のデジタル化による証拠性の確保
- 外国人材の声を制度改善につなげるフィードバックの仕組み
おわりに:次回予告
外国人材の定着支援には、現場の工夫と制度理解の両輪が必要です。
次回は「在留資格の更新・変更手続きとその注意点」について、実務の視点から分かりやすく解説します。