第1回:「ことばの壁」は“見えない離職リスク”──外国人雇用における日本語教育の必要性
外国人材の雇用が進む中小企業にとって、「ことばの壁」は単なるコミュニケーションの問題ではありません。業務の理解不足・安全面の不安・職場での孤立感など、見えにくいリスクを生み出し、結果的に早期離職や定着困難につながるケースも少なくありません。
🔍制度は整っていても、現場でつまずく理由
技能実習や特定技能など、外国人雇用の制度は年々整備されています。しかし、制度上の「日本語能力要件」を満たしていても、実際の職場ではこんな声が聞かれます:
- 「指示は通じているはずなのに、作業ミスが多い」
- 「報告・連絡・相談がうまくできず、トラブルになる」
- 「日本語が不安で、周囲との会話を避けてしまう」
これは、制度上の“合格ライン”と、現場で求められる“実践力”のギャップが原因です。
🧭企業ができる「ことばの壁」対策とは?
企業ができる日本語教育支援は、必ずしも大規模な研修や高額な教材ではありません。まずは以下の3つの視点から始めることが重要です。
① 安心づくりの視点
- 「わからない」と言える雰囲気をつくる
- やさしい日本語や図解を活用する
- 通訳や翻訳ツールの併用を許容する
② 制度運用の視点
- 在留資格に応じた日本語教育の必要性を把握する
- 特定技能の試験内容や評価基準を理解する
- 外国人本人のキャリア形成と連動させる
③ 多文化共生の視点
- 日本語教育を「日本化」ではなく「共生」の手段と捉える
- 企業文化の共有と、母国文化の尊重を両立させる
- 日本語教育を通じて、相互理解の土台を築く
📝まとめ:日本語教育は“定着支援”の第一歩
外国人社員が安心して働き、企業が制度を活かしながら現場での支援を行うためには、日本語教育を「制度対応」ではなく「人材定着の戦略」として位置づけることが重要です。
次回は、実際に中小企業が取り組んでいる「やさしい日本語」の活用事例をご紹介します。

