JLPTは“日本語力の証明”だけでなく、外国人材の採用・育成・評価において企業が活用できる実践的なツールです。ポイントは「レベルだけで判断しない」ことです。
第4回:JLPTの活用法 ― 採用・育成・評価にどう活かす?
JLPTは“合否”だけでなく、企業の人材戦略においても活用できるツールです。採用・育成・評価の各場面で、どのように位置づければよいのか、実践的な視点から考えてみましょう。
🧭 採用時に見るべきポイント:レベルだけで判断しない
JLPTはN1~N5の5段階で日本語力を測定しますが、「N2だから安心」「N3だから不安」といった単純な判断は危険です。
- 読む・聞く力は測れるが、話す・書く力は測れない
→ JLPTは筆記中心の試験であり、実務で必要な“運用力”は別途確認が必要です。 - 職種によって必要な日本語力は異なる
→ 例えば、製造現場ではN4でも十分な場合がある一方、接客業ではN2以上が望ましいことも。
面接やロールプレイで“実務対応力”を確認することが重要です。
🛠 入社後の育成にどうつなげる?
JLPTは育成計画の“目安”としても活用できます。
- 現状把握とレベル分け
→ 入社時にJLPTレベルを確認し、N3→N2など段階的な育成目標を設定。 - 研修設計に活かす
→ JLPTの出題傾向に合わせた語彙・読解・聴解トレーニングを組み込むことで、業務理解力が向上。 - 職場コミュニケーションの改善
→ JLPTを通じて報告・連絡・相談の精度が高まり、ミスやトラブルの防止にもつながる。
JLPTを“育成の道しるべ”として使うことで、外国人社員の成長を可視化できます。
⚖️ JLPTを「評価基準」にする際の注意点
JLPTを人事評価や昇進要件に取り入れる企業も増えていますが、運用には注意が必要です。
- “日本語力=業務力”と短絡的に結びつけない
→ JLPTはあくまで語学力の指標。業務遂行力は別の評価軸も必要です。 - 公平性と納得感のある運用を
→ JLPTのスコアだけで評価せず、実務成果やコミュニケーション力も併せて評価することが重要。 - 昇進要件にする場合は“補助的指標”として使う
→ 例:「N2以上+現場評価で昇格対象」といった複合基準が望ましい。
✅ まとめ:JLPTは“活用の仕方”が鍵
JLPTは外国人材の日本語力を見える化する有効なツールですが、使い方次第で“安心の雇用”にも“誤解のもと”にもなり得ます。
採用・育成・評価の各場面で、JLPTを“参考指標”として位置づけ、現場の実態と組み合わせて活用することが、企業の成長と外国人社員の定着につながります。
次回は、「JLPTの“本当の役割”を探る:制度と現場の間から見える5つのこと」をテーマに、制度と現場の未来を考えます。
参考:
企業研修でJLPTを活用する方法と注意点
外国人採用における日本語レベルと教育支援
JLPT N1~N2の実務活用と採用時の見極め方

