【第2回】AIでここまで変わる!最新の資産評価と遺言書作成術
「うちの土地、一体いくらになるんだろう?」
「遺言書を書きたいけれど、何から手をつければいいのか……」
相続対策の大きな壁は、その「複雑さ」と「心理的な重さ」にあります。しかし、これらは「情報の整理とシミュレーション」の問題に集約されます。
第2回では、最新のAI技術やITツールを駆使して、相続準備を「見える化」し、最適化する方法を解説します。
1. AIによる不動産・非上場株式の「高速評価」
相続税の根幹を成すのは「時価」の把握です。かつては膨大な資料が必要だった評価計算も、今はシステムで劇的に効率化できます。
- 根拠: 路線価や過去の取引データ、地図情報を統合したAI査定ツールを活用することで、概算の相続税評価額を瞬時に算出可能です。
- 具体例: 私のようなエンジニア出身者は、数値をグラフ化し「どの資産が税負担のボトルネックになっているか」を視覚化します。これにより、対策の優先順位(パレート分析)が明確になります。
- 結論: 勘に頼るのではなく、データに基づく「資産の棚卸し」を行うことで、経営判断としての相続対策が可能になります。
2. 「争族」を防ぐ、デジタル併用の遺言書作成
遺言書は、形式を一つ間違えるだけで無効になる「究極のリーガル書類」です。
- 根拠: 2025年現在、法務局での「自筆証書遺言書保管制度」などが普及していますが、内容は依然として厳格な法的要件が求められます。
- 具体例: 生成AIを活用して、自分の想いを「下書き」し、それを行政書士がリーガルチェックする。さらには、付言事項(家族へのメッセージ)を動画や音声で残し、法的な遺言書とセットで保管する「デジタル・メモリアル」の手法も有効です。
- 結論: 正確な法知識(コンプライアンス)に、伝えたい「想い(デジタル活用)」を掛け合わせることで、家族の紛争を未然に防ぐことができます。
3. 事業承継税制の「シミュレーション」
中小企業経営者にとって最大の関心事は「自社株」の評価と承継コストです。
- 根拠: 特例事業承継税制などの公的制度は非常に強力ですが、適用のための維持要件(雇用維持など)が厳しく、長期的なコストシミュレーションが不可欠です。
- 具体例: 今後の業績予測をAIで複数パターン作成し、どのタイミングで承継するのが最も税負担を抑えられるかを「生産計画」のようにシミュレートします。
- 結論: 社労士・FPの視点から「雇用」と「資産」を同時に守る計画を立てることで、承継後の経営の安定性が担保されます。
第2回のまとめ
最新のITツールやAIは、決して専門家だけのものではありません。経営者がこれらを「管理ツール」として使いこなすことで、不透明だった相続の全体像がクリアになります。
「整理されたデータ」と「明確な意思」こそが、次世代へ事業を繋ぐ最強の武器となります。
次回は最終回、「【第3回】実行力が鍵!エンジニア流『相続対策PDCAサイクル』の回し方」をお届けします。

