特集:後悔しないための「財産調査」完全ガイド(全3回)

【第3回】まとめ編:「財産目録」という名の設計図を完成させる

第1回でデジタル・金融資産をたどり、第2回で不動産・動産の現場を確認してきました。しかし、これらはまだバラバラの「部品」に過ぎません。個々の部品を組み立てて一つの製品を完成させるように、相続においても、すべての情報を統合した「財産目録」という完成図が必要です。

最終回では、集めたデータをどう構造化し、意思決定に繋げるかを解説します。


1. データの構造化:Excelやクラウドでの一元管理

調査した結果を紙のメモで終わらせてはいけません。再利用可能な「生きたデータ」に変換することが重要です。

  • 根拠: 相続税の申告、遺産分割協議、銀行手続きなど、一つのデータは多方面で使用されます。
  • 具体例: 資産を「流動資産(現金・預金)」「固定資産(不動産)」「負債」に分類してスプレッドシート化します。さらに、各資産に「解約済み」「調査中」といったステータス管理項目を設けることで、進捗を可視化(見える化)します。
  • 結論: 情報を構造化(データベース化)することで、手続きの抜け漏れを防ぎ、専門家との情報共有コストを最小限に抑えられます。

2. FP視点による「正味財産」の算出と出口戦略

目録が完成して初めて、家族が直面する「真の数字」が見えてきます。

  • 根拠: 資産総額から負債を引いた「正味財産」を算出することで、相続税の有無や、納税資金が足りるかどうかの損益分岐点が明確になります。
  • 具体例: FPの視点から「換金しやすい資産」と「そうでない資産」を色分けします。例えば、実家が空き家になるリスクや、非上場の自社株など、数字上の価値はあっても「出口(現金化)」が難しい資産への対策を優先的に検討します。
  • 結論: 目録を単なる「リスト」で終わらせず、将来のキャッシュフローを予測する「経営指標」として活用することが、家族の生活を守ることに直結します。

3. 遺産分割協議の「エビデンス」としての目録

正確な財産目録は、親族間の紛争を防ぐ「最高の防波堤」となります。

  • 根拠: 相続人間で不信感が生まれる最大の原因は「財産の隠匿疑い」です。
  • 具体例: 行政書士が作成に関与し、裏付け資料(残高証明や名寄帳)をセットにした「証明力の高い目録」を提示します。論理的かつ誠実な情報開示は、遺産分割協議という合意形成(コンセンサス)のプロセスを円滑にします。
  • 結論: 誰が見ても明らかな「事実」を提示することで、感情的な対立を排除し、健全なガバナンスが効いた相続を実現できます。

特集のまとめ

「財産調査」とは、過去の記録を整理するだけの作業ではありません。それは、経営者が次世代へバトンを渡すための「棚卸し」であり、残された家族が迷わないための「地図」を作る作業です。

エンジニア出身の行政書士として、私はこの「情報の整理」こそが、最も価値のあるリーガルサービスだと信じています。

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見よう見まねでまずはホームページを立ち上げてみました。これから少しずつレベルアップしていくと思うので、長い目で見てやってください。

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