2026年1月、私たちの指針である「行政書士法」が大きく改正されました。この改正は、単なる手続きのルール変更ではなく、私たち行政書士が「何のために存在するのか」という根本を問うものです。
エンジニアとして35年、生産現場で「仕様書(スペック)の本質」を追求してきた私にとって、今回の法改正で「使命(ミッション)」が明文化されたことは、非常に感慨深いものがあります。
連載第1回は、この「使命」の明文化が、外国人雇用に取り組む経営者の皆様にとってどのような安心材料になるのかを論理的に解説します。
【第1回】行政書士法改正:新たに定義された「使命」と、経営者が得られる「信頼の根拠」
「行政書士なんて、誰に頼んでも書類を作るだけなら同じだろう」
もしそうお考えでしたら、今回の法改正を機にその認識をアップデートしていただく必要があるかもしれません。
今回の改正で、行政書士法第1条は「目的」から「使命」へと書き換えられました。これは、私たちに課せられた社会的責任のステージが一段上がったことを意味します。
結論:法改正により「国民の権利利益の実現」が私たちの法的義務になりました
改正後の第1条には、「行政書士は……国民の権利利益の実現に資することを使命とする」と明記されました。これにより、単に「書類を不備なく作る」という作業レベルを超え、「依頼主である企業の権利と、そこで働く外国人の利益を法的に守り抜くこと」が私たちの存在意義として定義されたのです。
根拠と論理的構造
なぜ今、「使命」の明文化が必要だったのでしょうか。その背景には3つの論理的必然性があります。
- 「闇コンサル」からの決別と保護
これまで、法的な資格を持たずに「申請代行」を謳う無資格業者が後を絶ちませんでした。改正法は「使命」を明確にすることで、国家資格者としての倫理観を担保し、経営者の皆様が「安心して背中を預けられるパートナー」を識別する基準を提示しました。 - プロフェッショナルとしての「品質保証(QA)」
エンジニアリングの世界で「設計思想」が製品の寿命を決めるように、行政書士も「使命」という設計思想を持つことで、場当たり的ではない、数年先を見据えた在留資格戦略を提案することが義務付けられました。 - 紛争予防の強化
「権利利益の実現」には、トラブルの未然防止が含まれます。雇用契約の不備やコンプライアンス違反から企業を守ることが、法律上、私たちの「果たさなければならない役割」となったのです。
具体例:不許可リスクへの「攻め」の姿勢
例えば、入管への申請が一度不許可になったケースを想定してください。
- これまでの対応: 「指示通りに書きましたが、ダメでした」という消極的報告。
- 「使命」に基づく対応: 「企業の採用計画(権利)と外国人の就労機会(利益)を守るため、不服申し立てや再申請に向けた論理的再構築を行う」という執着。今回の改正では「特定行政書士」の権限も拡大されており、万が一の際の救済手段まで一貫してサポートできる体制が法的に強化されています。
専門家としての多角的視点
| 視点 | アドバイスのポイント |
| 行政書士(コンプライアンス) | 「使命」に基づき、不法就労のリスクを徹底的に排除します。法律が変わった今、無資格業者への依頼は企業にとって「両罰規定(法人も罰せられる)」という致命的なリスクになります。 |
| SR/FP(コスト・労務) | 企業の社会的責任(CSR)が高まる中、適正な雇用体制を敷くことは「優秀な人材の定着率」を上げ、将来的な採用コストの大幅な削減に寄与します。 |
| エンジニア(効率化・DX) | 改正法では「デジタル社会への対応」も努力義務化されました。アナログな郵送文化から脱却し、オンライン申請やクラウド管理を活用することで、手続きのリードタイムを最短化します。 |
生成AIを活用した業務効率化の提案
行政書士の「使命」が明確になった今、経営者の皆様にも「自社の雇用における使命」を再定義することをお勧めします。AIを使えば、法改正の趣旨に沿った「コンプライアンス・チェックリスト」を瞬時に作成できます。
【AI活用プロンプト例】
「2026年1月施行の改正行政書士法の趣旨(国民の権利利益の実現)に基づき、外国人雇用を行う中小企業が遵守すべき『社会的責任チェックリスト』を5項目作成してください。特に、無資格業者との接触リスクを回避するための視点を含めてください。」
このようにAIを「リスク管理のフィルター」として活用することで、経営の透明性を高めることができます。
生成AIの活用についてもご相談ください。
キーワード: 行政書士法改正、使命の明文化、社会的責任、コンプライアンス、権利利益の実現
次回予告: 第2回は、新設された「職責(デジタル社会への対応)」について、エンジニアの知見から「行政手続きのDX化が経営に与えるインパクト」を解説します。

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