第4回は、改正法に関連して重要性が増している「特定行政書士の権限とトラブル解決能力(不服申立て手続き)」をテーマに執筆します。
エンジニアの世界でいう「不具合解析」と「リカバリー」の視点から、万が一の不許可リスクにどう立ち向かうかを解説します。
【第4回】万が一の「不許可」に備える:特定行政書士による法的なリカバリー体制
「完璧に準備したはずなのに、入管から不許可通知が届いた……」
経営者にとって、これは単なる事務作業の失敗ではありません。予定していた人員配置が崩れ、採用コストが水泡に帰す「経営上のシステム障害」です。
2026年1月の法改正では、行政書士の使命として「国民の権利利益の実現」が明文化されました。これに伴い、行政庁の判断に対して異議を唱える「特定行政書士」の役割が、これまで以上に重要視されています。
結論:不許可を「確定」させない。法的な「リトライ(再試行)」権限の活用
特定行政書士は、行政庁(入管など)の下した判断に納得がいかない場合、依頼主に代わって「行政不服申立て」を行う権限を持っています。法改正により私たちの社会的責任が強化された今、不許可という「エラー」に対して論理的に反論し、正当な権利を取り戻す手続きは、企業の守護神としての重要な職責です。
根拠と論理的構造:なぜ「特定行政書士」の視点が必要か
不具合が起きた際、エンジニアが「なぜ壊れたか」を解析して対策を打つのと同様に、以下の3つのステップで法的リカバリーを図ります。
- 不許可理由の構造的解析(デバッグ)入管の判断基準と、提出書類のどこに「論理的な乖離」があったのかを特定します。単なる感情論ではなく、法の解釈に基づいた分析を行います。
- 行政不服申立てによる再審査(リトライ)特定行政書士のみが可能な「行政不服申立て」の手続きを通じて、行政庁の判断の妥当性を正面から問います。これにより、一度出された結論を覆す法的ルートを確保します。
- 権利利益の最大化(フェイルセーフ)改正法の目的である「権利利益の実現」に基づき、企業の採用計画を法的な側面から守り抜きます。これは、不許可を前提としない「攻めのガバナンス」の一部です。
具体例:高度専門職の不許可からの逆転
- 状況: 独自の技術を持つ外国人エンジニアのビザ申請が、「業務の専門性不足」を理由に不許可。
- 従来の対応: 諦めて別の候補者を探すか、理由も分からず同じ書類で再申請(結果はまた不許可)。
- 特定行政書士の対応: 不許可理由を精査し、生産現場における「高度な数学的知識の必要性」をエンジニア視点の図解資料とともに再構成して不服申立てを実施。結果、判断が覆り許可を取得。
生成AIを活用した業務効率化の提案
不許可通知(理由書)を受け取った際、その難解な官庁用語を解読し、反論の糸口を見つけるためにAIを活用できます。
【AI活用プロンプト例】
「入管から届いた不許可理由書の内容(以下にペースト)を解析してください。特に『法務省令第〇条』との整合性について、どのような主張の余地があるか、特定行政書士が反論書を作成するための論理構成案を3つ提示してください。」
このようにAIを「法的な壁打ち相手」として活用することで、精度の高い反論書を迅速に作成し、リカバリーの成功率を高めることができます。
次回予告: 最終回となる第5回は、「守秘義務の厳格化と利益相反防止の徹底(倫理的責任の強化)」の観点からお話しします。

