【特集】災害時に「誰一人取り残さない」外国人防災 その1

【第1回】なぜ今、外国人従業員の防災対策が経営課題なのか?

「地震が発生したとき、彼らは指示を理解して動けるだろうか?」

外国人を雇用する経営者の皆様、一度はこの不安を抱かれたことがあるのではないでしょうか。

日本は世界でも有数の災害大国です。昨今の能登半島地震などの例を引くまでもなく、災害は「いつか来るもの」ではなく「明日来るかもしれないもの」として備える必要があります。

本連載では、5回にわたり「災害時の外国人支援」をテーマに、企業が取り組むべき実務的な対策を解説します。第1回は総論として、なぜ外国人防災が単なる善意ではなく、重要な「経営課題」であるのかを論理的に整理します。

【結論】

外国人雇用における防災対策は、「法的責任の履行」と「事業継続性(BCP)の確保」を両立させるためのリスクマネジメントそのものです。


【根拠】

1. コンプライアンス視点:安全配慮義務の履行

労働契約法第5条には、使用者が労働者の生命・身体の安全を確保できるよう配慮する「安全配慮義務」が定められています。

  • ポイント: 言葉の壁がある外国人に対し、日本人と同じ日本語の指示しか出していなかった場合、万が一の際に「適切な配慮を怠った」とみなされる法的リスクがあります。

2. コスト・労務視点:貴重な人的資源の流出防止

中小企業にとって、教育を施した外国人従業員は欠かせない「戦力」です。

  • ポイント: 災害時の対応が不十分で不安を感じた従業員は、帰国や他社への転出を選択します。災害後の復旧フェーズで人手が足りず廃業に追い込まれるリスクを防ぐためにも、彼らの安全確保は必須の投資(コスト)です。

3. 効率化・DX視点:現場の混乱を最小限に抑える

エンジニアの視点で見れば、災害時の情報伝達ミスは「システムのバグ」と同じです。

  • ポイント: 言語の異なる従業員が混在する現場で、アナログな指示だけで動こうとするのは非効率です。ITツールや標準化されたマニュアル(プロトコル)を事前に構築しておくことで、有事の際の人的エラーを最小化できます。

【具体例:言葉の壁が生むリスク】

ある工場での訓練中、避難勧告の「高台へ避難してください」という放送が流れました。

日本語能力試験(JLPT)のN4程度の労働者は、「高い」「逃げる」という概念は理解できても、「高台(たかだい)」という名詞や「避難(ひなん)」という硬い専門用語を瞬時に理解できないことがあります。

その結果、彼らは周囲の動向を見て判断するしかなく、初動が数分遅れます。この数分が、災害時には致命的な差となります。

まとめ

外国人従業員の防災は、もはや「思いやり」の範疇を超え、企業の存続に関わるコンプライアンス上の義務です。次回からは、具体的にどのようなツールや手法でこの「情報の障壁」を乗り越えるべきかを解説していきます。

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次回予告:

第2回は「情報伝達編」として、ITツールと「やさしい日本語」を組み合わせた、確実に伝わる情報共有術について深掘りします。

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