【特集】災害時に「誰一人取り残さない」外国人防災 その5(最終回)

【第5回】エンジニア視点で構築する「外国人対応BCP」の実践

「立派な防災マニュアルを作ったが、いざという時に誰も見なかった」

生産現場では、こうした「形骸化した計画」が最大の失敗とされます。外国人従業員を抱える企業にとって、災害時にマニュアルが機能しないことは、文字通り命取りになります。

最終回となる今回は、エンジニアの知見を活かした、現場で「動く」ための外国人対応BCP(事業継続計画)の構築術を伝授します。

【結論】

外国人対応BCPの本質は、「情報の標準化(見える化)」と「繰り返しの訓練(PDCA)」によるシステムの最適化にあります。


【根拠】

1. 情報の標準化:視覚インターフェースの徹底

設計図面が世界共通であるように、防災指示も「言語」に頼りすぎない設計が必要です。

  • ポイント: 避難経路や消火器の位置は、文字ではなく世界標準のピクトグラム(図記号)で表示します。また、重要な指示には「赤(止まれ・危険)」「緑(避難・安全)」といった色による直感的なコードを割り振ります。

2. PDCAサイクル:訓練を「デバッグ」の機会にする

訓練は、計画の不備を見つけるための「デバッグ(修正)」作業です。

  • ポイント: 外国人従業員をあえて「避難リーダー」に任命してみてください。彼らが迷う箇所こそが、マニュアルの欠陥です。訓練後のフィードバックを反映し、マニュアルを常にアップデート(最新バージョンへ更新)し続ける体制を構築します。

3. 冗長性の確保:情報のバックアップ

エンジニアリングにおける「冗長化(二重化)」の考え方を情報伝達に適用します。

  • ポイント: 社内放送が聞こえない、スマホが使えない、といった「単一故障」で詰まないよう、アナログ(笛・メガホン・紙のカード)とデジタル(SNS・アプリ)の複数ルートを確保しておきます。

【3軸からの考察】

  • コンプライアンス視点(行政書士):BCPを策定し、それを従業員に周知・訓練している事実は、万が一の際の「安全配慮義務」を尽くしていたという強力な法的エビデンスになります。
  • コスト・労務視点(社労士・FP):被災からの早期復旧(RTOの短縮)は、企業のキャッシュフローを守る最大の手段です。外国人従業員を復旧作業の「協力者」として教育しておくことは、事業継続コストの大幅な削減につながります。
  • 効率化・DX視点(エンジニア):現場の各所にQRコードを配置しましょう。スマホをかざせば、その場所から避難場所までのルートが「各人の母国語」で動画表示される仕組みなどは、安価かつ即座に導入できるDX防災です。

【具体例:エンジニア流・防災アクション】

  • 「指差し呼称」の多言語化: 「火元ヨシ!」「出口ヨシ!」を、ベトナム語や英語でもリズムを合わせて唱和する訓練を行うことで、非常時の連帯感を高めます。
  • 避難キットのパーソナライズ: 各人のロッカーに、母国語で書かれた「緊急連絡先カード」と、少量の宗教的配慮食(ハラール対応など)を常備させます。

最後に

5回にわたる連載をお読みいただきありがとうございました。

外国人を雇用することは、その人生を預かることでもあります。法務(行政書士)・労務(社労士)・技術(エンジニア)の視点を掛け合わせ、「災害に強く、誰一人取り残さない職場」を共に作っていきましょう。


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見よう見まねでまずはホームページを立ち上げてみました。これから少しずつレベルアップしていくと思うので、長い目で見てやってください。

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