【第3回】企業内転勤の落とし穴:4月1日始動、カテゴリー3・4で刷新される提出書類の急所

連載第3回のテーマは、令和8年4月1日から運用が開始される「企業内転勤」の提出書類変更についてです。特にカテゴリー3・4(新設間もない企業や非上場の中小企業など)に該当する企業様は、これまで以上に「エビデンスの質」が問われることになります。


1. 結論:審査官は「実態」と「継続性」のログを求めている

今回の変更のポイントは、「本当にその人は海外で働いていたのか?」「転勤後、本当に専門的な仕事をするのか?」という点に対する立証責任がより明確化されたことです。

これまでは比較的簡素な書類で認められていたケースでも、新運用下では職歴や組織関係を細部まで精緻に証明しなければなりません。


2. 根拠:新チェックシートに見る「3つの強化項目」

令和8年4月1日以降、カテゴリー3・4の企業が準備すべき書類には、以下の要素が強く反映されています(別添2)。

① 活動内容の具体的立証(No.5)

  • 転勤命令書や労働条件通知書において、単に「エンジニア」と書くだけでは不十分です。活動内容、期間、地位、報酬が明記されている必要があります。
  • 役員等の場合は、定款や株主総会議事録など、報酬決定のプロセスを示す資料まで求められます。

② 組織間の「資本関係」の可視化(No.6)

  • 日本法人への出向の場合、外国法人との「出資関係を明らかにする資料」が必須です。
  • 親会社・子会社だけでなく、関連会社間の複雑な資本移動がある場合、これをロジカルに図解し説明する能力が問われます。

③ 転勤前の「1年以上の勤務実績」の厳格化(No.7)

  • 履歴書に加え、直近1年間の給与明細や所得税の納税証明書など、実際に海外で稼働していたことを示す「客観的な資料」が例示されました。


3. 具体例:海外子会社から若手リーダーを呼び寄せる際のリスク

例えば、海外拠点で1年2ヶ月勤務した若手エンジニアを日本へ転勤させる場合を想定します。

  • 旧運用: 履歴書と派遣状(レター)があれば、過去の給与実態まで細かく突っ込まれないこともありました。
  • 新運用: 4月以降は、「直近1年分の給与振込記録や社会保険加入記録」がなければ、要件である「1年以上の継続勤務」を充足していないと疑われ、審査が難航する可能性があります。

【視点別アドバイス】

  • コンプライアンス(法務)視点: 転勤は「法人を異にするか(出向か)」「同一法人内か」で必要書類が変わります。特に別法人の場合は、労働基準法15条に基づく「労働条件明示」がこれまで以上に厳格にチェックされます。
  • コスト・労務視点: 海外現地の書類(給与明細等)を取り寄せるには、翻訳コストと時間が必要です。申請の3ヶ月前から「書類の棚卸し」を始めるスケジュール管理が重要です。
  • 効率化・DX視点: 海外拠点と日本本社で、職務経歴書や給与データをクラウド上で一元管理できていますか? 属人的な管理を脱し、入管から求められた際に即座にデータをエクスポートできる体制を構築しましょう。

次回予告

次回は、永住権を視野に入れている方にとっての最重要トピック、「【第4回】永住ガイドライン改訂:『上陸許可基準』への適合が必須に」を解説します。

生成AI活用のヒント

複雑な資本関係図(出資関係図)を作成する際、AIに「A社がB社の株式を60%保有し、B社が日本のC社を100%所有している」といった情報を入力し、図解させることで、説明資料の作成時間を大幅に削減できます。

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見よう見まねでまずはホームページを立ち上げてみました。これから少しずつレベルアップしていくと思うので、長い目で見てやってください。

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