外国人の退職・雇用終了:会社が行うべき「入管への届出」とは?
外国人雇用を支える中小企業の皆様、こんにちは。行政書士の山本です。
外国人雇用において、雇用を終了した際の「事後処理」を正確に行うことが、将来の受け入れ体制やコンプライアンスを守るために不可欠です。
今回は、出入国在留管理庁の公式Q&A(Q4)に基づき、外国人の雇用を終了した際に会社が行うべき手続きを論理的に整理します。
1. 結論:14日以内に「中長期在留者の受入れに関する届出」を行う
外国人が退職したり、雇用契約が終了したりした場合、事業主は出入国在留管理庁に対して「中長期在留者の受入れに関する届出(離脱)」を行うよう努めることとされています。
この手続きは、ハローワークへの「外国人雇用状況届出」とは別の手続きであることに注意が必要です。
2. 根拠:対象となる在留資格と期限
入管庁の回答(A4)に基づき、実務上のポイントを構造化します。
① 対象となる主な在留資格
主に以下の就労資格(※1)で在留している方が対象です。
- 「技術・人文知識・国際業務」
- 「教授」「経営・管理」「企業内転勤」「技能」など
- 「留学」や「家族滞在」で資格外活動許可を得て働いている場合は対象外です。
(※1)芸術、宗教、報道、技能実習、特定技能などは、別の特別な届出制度があります。
② 届出の期限
- 雇用関係が終了した日から14日以内です。
③ 提出方法
以下の3つの方法から選択できます。
- オンライン: 「出入国在留管理庁電子届出システム」を利用(24時間受付)。
- 窓口への持参: 地方出入国在留管理局の窓口。
- 郵送: 東京出入国在留管理局在留カード窓口へ送付。
3. 具体例:エンジニア視点での「クリーンアップ」作業
実務上、この届出をルーチン化することは、企業のガバナンス(統治)を維持する「クリーンアップ作業」と言えます。
- 「幽霊社員」の発生を防ぐ: 退職したことを届け出ないと、入管のデータ上では依然として貴社に在籍していることになります。万が一、その外国人が退職後に不法就労等で摘発された場合、適正な届出を行っていないと貴社への調査が及ぶリスクが生じます。
- 将来の採用への影響: 入管法上の届出義務を誠実に履行していることは、次回の新規呼び寄せ(COE申請)や更新申請の際、企業の「信頼性」として評価されます。
【多角的なアドバイス】
- コンプライアンス(行政書士)視点: 本人が入管に行うべき「契約機関に関する届出」と、会社が行う「受入れに関する届出」はセットです。本人が忘れている場合も多いため、退職時に「入管への届出は済ませましたか?」と声掛けをすることが、誠実な士業的アドバイスとなります。
- コスト・労務(社労士・FP)視点: ハローワークへの届出(雇用保険被保険者資格喪失届など)と同時に、入管への届出もタスクリストに入れる仕組みを作ってください。届出の漏れは、コンプライアンス上の「隠れた負債」になります。
- 効率化・DX(エンジニア)視点: 電子届出システムの活用を強く推奨します。一度利用者登録を行えば、移動時間や郵送代という「無駄なコスト」をゼロにできます。退職者リストをそのままデジタルデータとして連携できる環境が理想的です。
次回予告
次回は、「Q5:在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請及び在留期間更新許可申請について、外国人を雇用する機関の職員が行うことができますか。」について解説します。
生成AI活用の提案
退職時に渡す「手続き案内書」の作成にAIを活用しましょう。「退職後に必要な入管への届出方法」を多言語で生成することで、外国籍従業員がスムーズに次のステップへ進めるよう支援し、企業の評判(レピュテーション)向上につなげることができます。

