派遣型就労の落とし穴:なぜ「派遣先」の資料まで求められるのか?
外国人雇用を推進する中小企業の経営者・人事担当者の皆様、こんにちは。行政書士の山本です。
入管手続きにおいて派遣という形態をとる場合、審査の対象は「雇用主」だけでなく「実際に働く場所」にまで及びます。
今回は、公式Q&A(Q24)に基づき、派遣社員として外国人を雇用する際の必要書類の考え方について解説します。
1. 結論:派遣先の「業務実態」を証明する資料が必須
自社で採用した外国人を派遣社員として他社で勤務させる場合、雇用主である自社の資料だけでなく、派遣先の会社概要や業務内容を詳細に記した資料の提出が不可欠です。
入管は「どこで、誰に対して、どのような専門的業務を行うのか」をセットで審査するため、派遣先の情報がなければ、在留資格の該当性を判断することができないからです。
2. 根拠:審査の「実効性」を担保する3つの確認事項
入管庁の回答に基づき、なぜ派遣先の資料が必要なのかを構造化します。
① 業務内容の適合性(Q3参照)
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」などの要件を満たす高度な業務が、派遣先の現場に実際に存在するかをチェックします。
- 派遣先での具体的なタスクが不明確な場合、「単純労働に従事させるのではないか」という疑義が生じます。
② 派遣契約の存在証明
- 雇用主(自社)と派遣先との間で、適切な「労働者派遣契約」が締結されているかを確認します。
③ 勤務場所の特定
- 実際にどの拠点で稼働するのかという「実行環境」を特定する必要があります。
3. 具体例:提出すべき「派遣先関連パッケージ」
実務において、派遣形態の申請では以下の資料をパッケージ化して提出します。
- 労働者派遣契約書の写し: 契約期間や業務内容が明記されたもの。
- 派遣先による「就業条件明示書」: 実際に本人が担当する業務のディテール。
- 派遣先の会社案内・パンフレット: 派遣先の事業規模や沿革を証明するもの。
- 派遣先での座席図や組織図(必要に応じて): 専門的業務を行う環境が整っていることを疎明します。
【多角的なアドバイス】
- コンプライアンス(行政書士)視点: 派遣先が頻繁に変わる場合、更新申請時には「直近の派遣先」だけでなく「これまでの稼働実績」を正確に報告する必要があります。派遣先での業務が在留資格の範囲外(単純作業など)であったことが判明すると、次回の更新が不許可になるだけでなく、企業側も不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
- コスト・労務(社労士)視点: 派遣元(自社)には、派遣先での就業環境を適切に管理する義務があります。同一労働同一賃金の遵守や、派遣先でのハラスメント防止など、外国人本人が安心して働ける「運用保守」体制を整えておくことが、長期的な定着に繋がります。
- 効率化・DX(エンジニア)視点: 複数の派遣先を抱える場合、各社の「会社概要PDF」や「標準的な就業条件明示書」をクラウド上でライブラリ化(共通パーツ化)しておきましょう。申請のたびに派遣先へ資料請求する手間を省き、在留申請オンラインシステムへのアップロードを高速化する「デプロイ・パイプライン」を構築できます。
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次回予告
次回は、「Q25:在留資格変更許可申請書の「申請人等作成用2」及び「所属機関作成用」の上部に「(変更申請の場合のみ)」と記載されているのですが、在留期間更新許可申請の場合は「申請人等作成用1」の1枚のみを提出するのですか。」について解説します。
生成AI活用の提案
派遣先から受け取った「業務指示書」をAIに読み込ませ、在留資格の基準に照らして「高度な専門性があるか」を自動判定させましょう。また、不足している情報をAIが指摘するように設定することで、入管からの追加資料要請を未然に防ぐことができます。
「派遣先が複数ある場合の書類のまとめ方がわからない」「派遣先から資料提供の協力を得にくい」という方は、ぜひ当事務所までご相談ください。
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