派遣就労の申請書記入:勤務先欄には「元」と「先」どちらを書く?
外国人雇用を推進する中小企業の経営者・人事担当者の皆様、こんにちは。行政書士の山本です。
今回は、公式Q&A(Q27)に基づき、派遣社員として活動する場合の「勤務先」欄の書き方について論理的に解説します。
1. 結論:「派遣先」の情報を記載する
「申請人等作成用2」の「勤務先」欄には、雇用主である派遣元会社ではなく、実際に業務を行う「派遣先会社」の名称および所在地を記載してください。
入管の審査官は、この欄を見て「外国人がどこのプラットフォーム(現場)で稼働するのか」を特定し、その場所での業務内容を精査します。
2. 根拠:審査の「実行環境」を特定するための仕様
入管庁の回答に基づき、なぜ派遣先を書く必要があるのかを構造化します。
① 実体的な活動場所の把握
- 在留資格の審査では、「実際にどのような環境で、どのような指示を受けて働くのか」が重視されます。
- 雇用契約を結んでいるのが「派遣元」であっても、日々のタスクが実行されるのは「派遣先」であるため、勤務先欄にはその「実行環境(派遣先)」のデータを入力する必要があります。
② 派遣先が複数ある場合の処理
- 申請時点で派遣先が複数決まっている場合は、全ての派遣先について記載、または資料を提出する必要があります(Q37参照)。
- 欄内に書ききれない場合は、「別紙参照」とし、別途リスト(一覧表)を添付する「外部参照」の形をとります。
3. 具体例:申請書全体での「元」と「先」の使い分け
実務において、申請書の各セクションで「元」と「先」が混在するため、以下のマッピング表を参考にしてください。
| 申請書の箇所 | 記載すべき会社 | 理由(デバッグ指針) |
| 申請人等作成用1(14 勤務先) | 派遣元 | 契約上の所属(メインのアカウント)を示すため。 |
| 申請人等作成用2(1 勤務先) | 派遣先 | 実際の稼働現場(実行ホスト)を示すため。 |
| 所属機関作成用 | 派遣元 | 雇用主としての義務(給与支払等)を証明するため。 |
【多角的なアドバイス】
- コンプライアンス(行政書士)視点: 「派遣先がまだ決まっていないが、とりあえず自社の住所を書いて申請する」という行為は、虚偽申請(あるいは実態のない申請)とみなされるリスクがあります。Q37にもある通り、「申請時点で派遣先が確定していること」が許可の大前提です。派遣先が決まってから申請を行うのが鉄則です。
- コスト・労務(社労士)視点: 派遣先での勤務実態(残業時間や安全管理)を把握しておくことは、雇用主である派遣元企業の法的義務です。申請書に書いた派遣先の情報と、実際の社会保険の適用事業所や労災管理のデータに矛盾がないよう、常に同期させておきましょう。
- 効率化・DX(エンジニア)視点: 在留申請オンラインシステムを利用する場合、派遣形態を選択すると「派遣先情報」の入力フォームが動的に生成されます。複数の派遣先がある場合も、CSV等で一括インポートできる機能(または検討中の仕様)を活用することで、大量のデータを手入力する手間(ヒューマンエラー)を最小化できます。
関連キーワード
派遣先会社、勤務先欄の記入、派遣元、所属機関作成用、実体的な活動場所、派遣先確定の原則
次回予告
次回は、「Q28:在留資格変更許可申請書の「申請人等作成用1」の「希望する在留期間」の期間と「所属機関等作成用1」の「就労予定期間」は一致する必要がありますか。」について解説します。
生成AI活用の提案
派遣契約書や就業条件明示書から「派遣先の名称・所在地・電話番号」を自動抽出し、申請書の該当箇所にマッピングするスクリプトをAIで作成しましょう。複数の派遣先を管理する際の転記ミスをゼロにし、法務チェックの工数を大幅に削減できます。

