特集:現場で使える!外国人雇用の実務と未来戦略 その2

第2回:「労務トラブルの芽を摘む!外国人雇用の社内ルールづくり」

― 勤怠、残業、服装、職場文化の違いを埋めるマニュアル整備術


外国人雇用が拡大するなか、現場で頻発する「小さなすれ違い」から始まる労務トラブル。実はその多くが、社内ルールの“曖昧さ”と“誤解”に原因があります。今回は、行政書士として外国人雇用支援を行う立場から、文化的背景を踏まえた社内マニュアル整備術を紹介します。


1. 外国人雇用における“労務トラブル”の特徴

日本企業の慣習や「暗黙の了解」は、外国人にとっては理解しづらく、トラブルの火種になりやすいです。

よくあるトラブル例

項目実例背景
勤怠時間通りに出勤しても、始業5分前に来ないと注意された「余裕をもって出社」は説明されていない文化
残業指示がないのに残って怒られた / 逆に帰ったら冷たい視線暗黙の残業ルールが理解されていない
服装ノーネクタイで来たら注意された夏場の「クールビズ」が浸透していない地域出身者
報連相トラブルが発生しても報告がない“報連相”の意味や重要性が教えられていない

2. ルールを明文化するメリットとは?

誤解・曖昧さを排除し、トラブルを未然に防げる
日本人社員にとっても“働き方の再確認”になる
トレーナーや管理職の業務が標準化される
外国人社員も安心して働ける環境が整う


3. 伝わる社内マニュアル整備のポイント

📘「日本語+やさしい日本語+多言語」対応

言語レベルに応じて3段階表示すると、誤解が減ります。

例:
通常表現:就業開始5分前には着席していてください。
やさしい日本語:しゅうぎょう 5ふん まえ に、いす に すわって いて ください。
英語:Please be seated at your desk at least 5 minutes before work starts.


📘“なぜそうするのか”を説明する

単なるルールの「押しつけ」ではなく、背景の説明があることで納得感が高まります。

❌「ネクタイを着用してください」
⭕「この仕事ではお客様に信頼される身だしなみが大切です。ネクタイの着用をお願いしています」


📘ケーススタディを盛り込む

トラブル事例を紹介し、「こう対応すればよかった」という形で伝えると、定着しやすくなります。


4. マニュアルに盛り込むべき基本項目

  • 出退勤のルール(例:打刻・遅刻の連絡方法)
  • 勤務態度(例:指示を受けたときの返事、作業中の私語)
  • 服装・身だしなみ(季節による変更可否なども明記)
  • 残業・休憩の運用方法
  • ハラスメント防止の基礎知識
  • 「報連相」の意味とタイミング
  • 緊急時の対応(ケガや災害時の行動)

5. 実践例:ある製造業企業での成功事例

ある愛知県内の製造業では、外国人スタッフ向けの「生活・職場マニュアル(やさしい日本語+母語翻訳付き)」を導入。最初の3ヶ月で以下の成果が見られました:

✅ 相談件数が2倍に増え、「黙って辞める」ケースがゼロに
✅ 先輩社員の指導ストレスが軽減
✅ 「感情的な叱責」が減り、定着率が上昇


まとめ

文化の違いを“問題”にせず、“前提”として認識する
就業ルールを「わかる形」で整備することが労務安定の第一歩
外国人だけでなく、日本人社員も安心して働ける共通ルールを


次回は:
「知らなかった”では済まされない!在留資格と業務内容のズレ」
実は多くの企業が知らない、在留資格ごとの“できる業務とNG業務”の実務を解説します!

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