第3回:“知らなかった”では済まされない!在留資格と業務内容のズレ
― うっかり不法就労を防ぐための職種と活動内容の照合法
🔍 はじめに
外国人雇用の現場で、見落としがちな落とし穴――それが「在留資格と実際の業務内容のズレ」です。
「書類上は問題ないはずだった」「面接のときには気づかなかった」──そんな“うっかり”が、不法就労や企業責任という重大なリスクにつながることも。
この記事では、在留資格と職務内容をいかに照らし合わせ、適切に確認するかを具体的に解説します。
💡 よくある“ズレ”の実例
✖️ 技術・人文知識・国際業務で単純労働
例:通訳として採用したが、実際には日本語が話せないお客様への店頭案内、レジ対応中心
✖️ 特定技能で接客以外の業務を兼務
例:外食業の厨房担当者に、清掃・配送・事務処理も常態的に任せていた
✖️ 留学生の資格外活動の時間超過
例:週28時間の上限を超えてしまっていたが、店舗側が把握していなかった
🗂 チェックすべき在留資格と業務内容の照合法
在留資格 | 認められる主な業務内容 | 注意点 |
---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 専門的知識を活かした業務(通訳、貿易実務、システム開発など) | 単純労働は不可。実務内容が詳細に問われる |
特定技能1号 | 介護、外食、宿泊、農業など12分野 | 職種ごとに明確な範囲が定義されている |
留学(資格外活動) | 週28時間以内のアルバイト | コンビニ・飲食可。ただし、就労内容の種類や時間を超えると即違法 |
定住者・永住者 | 制限なし | 一般雇用者と同様だが、本人確認と労働条件管理が重要 |
📌 ポイント: 「“資格外活動許可”がある=何でもできる」わけではありません!
✅ 実務で使える3つの照合ポイント
- 採用時に「在留カード」+「活動内容のヒアリング」を必ず行う
- 職務内容を外国人本人と“具体的に”共有する(曖昧な職務内容はNG)
- 疑問点は入管専門の行政書士に確認するか、地方出入国在留管理局に照会を(過去に「雇い止め」や「指導事例」が出たケースあり)
✍️ 結びに:企業の誠実さが信頼と未来をつくる
雇用主の「知らなかった」は、入管法上の言い訳にはなりません。むしろ、事前確認の姿勢と仕組み作りが信頼ある雇用につながります。
企業が安心して外国人を迎え入れるには、“在留資格は書類”ではなく“契約内容と現場”で合わせる感覚が欠かせません。
今こそ、制度と向き合い、未来を見据えた運用を――。