JLPTは“日本語力”を測る試験ですが、現場で求められる“即戦力”とは必ずしも一致しません。制度の背景と誤解されがちなポイントを整理し、採用現場での見極めに役立つ視点をお届けします。
第2回:JLPTの基本と誤解 ―「日本語力=即戦力」ではない?
外国人を採用する際、「JLPT N2以上が望ましい」と求人票に書く企業も多いのではないでしょうか。しかし、JLPTが測っているのは“実際の会話力”とは限りません。本記事では、JLPTの制度的な背景と、現場での誤解について整理します。
🏛 JLPTとは何か?制度の目的と歴史
JLPT(日本語能力試験)は、日本語を母語としない人の日本語力を客観的に評価・認定する試験として、1984年に国際交流基金と日本国際教育支援協会によって創設されました。
- 目的:日本語学習者の到達度を測ること、企業・教育機関が客観的に日本語力を判断できる指標を提供すること。
- 歴史的背景:留学生受け入れ政策や国際化の流れの中で、標準化された日本語評価の必要性が高まり創設。
- 試験構成:現在はN1(最難)~N5(最易)の5段階。筆記中心のマークシート方式で、年2回実施。
JLPTは世界96か国以上で実施され、年間受験者は約150万人にのぼる世界最大規模の日本語試験です。
⚠️ よくある誤解:「N1なら即戦力」「N3なら日常会話OK」?
現場では以下のような“誤解”が広がりがちです。
- 「N1ならビジネス日本語も完璧」
→ 実際には、読解力や語彙力が高いだけで、会話力や対人対応力は別問題です。 - 「N3なら日常会話は問題ない」
→ N3は“橋渡しレベル”とされ、基礎力はあるが、実務での応用には個人差が大きいです。 - 「N2以上なら電話対応もできる」
→ JLPTにはスピーキングやリスニングの実務的な応用力を測る項目が限定的で、電話対応や接客には別の訓練が必要です。
JLPTは“読む・聞く”中心の試験であり、“話す・書く”力は測定対象外です。
🔍 JLPTが測っているのは“何の力”か
JLPTが評価するのは、主に以下の力です。
| 測定領域 | 内容 | 現場とのギャップ |
|---|---|---|
| 読解力 | 文法・語彙・文章理解 | マニュアル読解には有効だが、会話力とは別 |
| 聴解力 | 会話・放送文の理解 | 実際の電話対応や雑談とは異なる |
| 文法知識 | 接続・活用・語彙 | 正確な表現力の土台にはなるが、運用力は別途必要 |
つまり、JLPTは“日本語知識の理解力”を測る試験であり、“運用力”や“即戦力”を保証するものではありません。
✅ まとめ:JLPTは“参考指標”、現場力は“別途確認”が必要
JLPTは外国人材の日本語力を測るうえで有用な指標ですが、現場での即戦力を判断するには、面接・OJT・実務体験などの補完的な評価が不可欠です。
「N2だから安心」ではなく、「N2+現場での対応力」を見極める視点が、企業の安心感につながります。
次回は、「JLPTを採用・育成・評価にどう活かすか」について、具体的な活用法を紹介します。
参考:
JLPT公式サイト:目的と沿革
Wikipedia:日本語能力試験
カワヤスブログ:JLPTの全体像
文化日本語:JLPTの構造的課題と改善点

