JLPT合格=即戦力とは限りません。試験で測れる力と現場で必要な力の“ズレ”を理解することで、外国人材の適切な配置と育成が可能になります。
第3回:現場での“ズレ”を読み解く ― JLPTと実務能力のギャップ
JLPT合格者を採用したのに、現場でのやりとりに苦労している…そんな声をよく耳にします。制度と現場の間にある“ズレ”を理解することで、より適切な人材配置や育成が可能になります。
📞「N2合格者なのに電話対応が苦手?」の理由
JLPT N2は「日常会話からビジネス会話まで対応可能」とされる上級レベルですが、実際には以下のようなギャップが生じることがあります。
- 電話対応が苦手:相手の声が聞き取りづらい、敬語表現が瞬時に出てこない、話す順序がわからないなど。
- 報告・連絡・相談(ホウレンソウ)がぎこちない:日本特有の職場文化に慣れておらず、言葉選びに迷う場面が多い。
- 敬語・謙譲語の使い分けに不安:「申しました」「伺いました」などの違いが曖昧で、実務での運用に苦労する。
これは、JLPTが「読む・聞く」力を中心に測定する試験であり、「話す・書く」力は評価対象外であることが大きな要因です。
🛠 現場で求められる“使える日本語”とは
現場で必要とされる日本語力は、以下のような“運用力”です。
| スキル | 内容 | JLPTとの関係 |
|---|---|---|
| 会話力 | 相手の話を理解し、適切に返す | JLPTでは測定されない |
| 対応力 | イレギュラーな状況への反応 | 試験では想定されない |
| 敬語運用 | 丁寧語・謙譲語・尊敬語の使い分け | JLPTでは基礎知識のみ |
| 職場文化理解 | ホウレンソウ、報告順序など | 試験外の知識・経験が必要 |
つまり、JLPTは「知識の証明」にはなっても、「実務力の保証」にはならないのです。
🔍 JLPTと実務スキルの関係をどう捉えるか
企業がJLPTを活用する際には、以下のような視点が重要です。
- JLPTは“入口”であり“ゴール”ではない:N2合格はあくまで「基礎力あり」の証明。実務力は別途確認が必要です。
- 面接やOJTで“運用力”を見極める:電話対応や報告のロールプレイなど、実際の場面での対応力を確認しましょう。
- 育成支援が“即戦力化”の鍵:敬語研修、職場文化の説明、やさしい日本語の活用など、企業側の支援体制が重要です。
✅ まとめ:制度と現場の“ズレ”を埋める視点が、安心の雇用につながる
JLPTは外国人材の日本語力を測る有効な指標ですが、現場で求められる力とは別物です。
制度の理解と現場の実態をつなぐ視点を持つことで、外国人材の活躍を支える“安心の雇用”が実現します。
次回は、「JLPTを採用・育成・評価にどう活かすか」について、具体的な活用法を紹介します。
参考:
JLPTレベル別に見る会話力の実態(Work&People)
JLPTと実務能力の違い(PROTRUDE)
N2合格者が直面する実務の壁(Malayan Dragon)
JLPT N2の位置づけと企業活用(海外人材タイムス)

