第2回:「信頼される専門家」へ ― 行政書士の使命と職責が法律に明記
はじめに
2026年1月施行の改正行政書士法では、行政書士の「使命」と「職責」が初めて法律上に明記されます。
これまで行政書士は“書類作成の専門家”というイメージが強く、企業側から見ても「何を頼めるのか」「どこまで任せていいのか」が曖昧な場面がありました。今回の改正は、そうした不明瞭さを解消し、企業が安心して行政書士に依頼できる環境づくりにつながる重要な一歩です。
改正のポイント:使命と職責の明記
🔹 使命とは?
行政書士は「国民の権利利益の実現に資する」ことを使命とし、行政手続の円滑な実施を支える役割を担うと明記されました。
これは、企業や市民が行政と関わる際の“伴走者”としての立場を法的に裏付けるものです。
🔹 職責とは?
行政書士は「誠実義務」「能力向上義務」「信用保持義務」などを負うことが明文化されました。
企業にとっては、依頼先が法的に責任ある行動を求められることで、安心感と信頼性が高まることになります。
中小企業にとってのメリット
| 改正点 | 企業にとっての意味 |
|---|---|
| 使命の明記 | 行政手続の“伴走者”としての役割が明確に。相談しやすくなる。 |
| 職責の明記 | 誠実対応・能力向上・信用保持が義務化。依頼時の不安が減る。 |
| 法的裏付け | 「誰に頼むべきか」が明確になり、無資格者との違いがはっきりする。 |
実務での活用シーン
- 許認可申請の相談時:「この手続き、行政書士に頼んで大丈夫?」という不安が減る
- 外国人雇用の場面:在留資格や生活支援に関する相談も、使命に基づいて対応可能
- 契約書作成・社内整備:誠実義務や信用保持義務があることで、情報管理面でも安心
まとめ
今回の改正で、行政書士は単なる“書類屋”ではなく、企業の行政手続を支える信頼できるパートナーとしての位置づけが明確になりました。
中小企業にとっては、「誰に何を頼めるか」が見える化され、安心して業務を委託できる環境が整いつつあります。
次回は「電子申請・DX時代の行政書士 ― デジタル社会対応で企業手続きはどう変わる?」をテーマに、企業の実務に直結する変化を解説します。

