第5回:“資格なき代行”は違法に ― 行政書士でない者の制限違反が明文化
はじめに
2026年1月施行の改正行政書士法では、「行政書士でない者が業務を行うこと」に対する制限違反の明文化が盛り込まれました。
これにより、中小企業が手続き代行を依頼する際に、“誰に頼むか”がより重要になる時代が始まります。無資格者による不適切な代行を防ぎ、企業が安心して専門家に依頼できる環境を整えるための改正です。
具体的には、何かを依頼したり購入したりした相手先が、申請書類の作成等を「これはサービスでやっておきます」ということは法律違反だということです。サービスでと言いながら実質は代金の一部に含まれているとみなされるためです。(よって、業としての関係のない家族や知人の代行は問題ありません)
まだまだ認識の浅い業者もいます。コンプライアンスの観点からも十分注意してください。
改正のポイント:制限違反の明文化
- 行政書士でない者が、報酬を得て業務を行うことは法律違反であると明確に規定
- 「行政書士の業務に該当する行為」を無資格者が行った場合、処罰対象になる可能性あり
- 企業側も「知らなかった」では済まされないケースが出てくるため、依頼先の確認が重要
中小企業にとってのリスクと注意点
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 無資格者への依頼 | 書類不備・手続き遅延・法的トラブルの原因に |
| 信頼性のない代行業者 | 報酬トラブルや情報漏洩のリスクが高まる |
| 両罰規定との連動 | 違反があった場合、企業側も責任を問われる可能性(第6回で詳述) |
実務での注意ポイント
- ✅ 「行政書士登録証」「行政書士会所属」などを確認してから依頼する
- ✅ SNSやネット広告で見かける“代行サービス”に注意(資格の有無を必ず確認)
- ✅ 「これはサービスで」というのも通用しません
- ✅ 外国人雇用・許認可・契約書作成など、専門性が求められる業務は行政書士に依頼する
まとめ
今回の改正は、行政書士の専門性を守るだけでなく、企業が安心して依頼できる環境を整えるための一手です。
「誰に頼むか」が企業のリスク管理に直結する時代。中小企業の皆様には、依頼先の確認と社内体制の見直しをおすすめします。
次回は最終回「業務制限違反に対する両罰規定」について、企業側の責任とコンプライアンス対応を解説します。

