※入管庁の4月15日付改訂により、現在はQ40(旧Q38)となっています
人手不足の解消として、派遣会社から「技術・人文知識・国際業務(技・人・国)」の在留資格を持つ外国人を派遣労働者として受け入れる企業も増えています。しかし、もし派遣先での業務内容が在留資格の範囲外だった場合、派遣会社だけでなく、受け入れた「派遣先企業」も重い罰則を受ける可能性があることをご存知でしょうか。今回は派遣先が知っておくべきリスクと対策を解説します。
Q:派遣会社から「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって在留する外国人を派遣労働者として受け入れる予定なのですが、その際に気を付けるべき点を教えてください。
A:A37と同様に、派遣先において従事させる業務の内容が在留資格「技術・人文知識・国際業務」の活動内容に該当することが前提となりますので、在留資格で認められる活動内容の範囲を派遣先自らにおいてもよく確認願います。
また、派遣先において在留資格「技術・人文知識・国際業務」の活動内容に該当しない業務に従事させた場合には、派遣会社(派遣元)及び派遣先のいずれについても、事業活動に関して不法就労活動をさせたものとして、不法就労助長罪(三年以下の拘禁刑若しくは三百万円以下の罰金又はその併科。入管法第七十三条の二第一項第一号参照。)に該当し得るので、注意願います。
解説:「知らなかった」では済まされない派遣先の責任
派遣社員を受け入れる際、「ビザの管理は派遣会社がやっているはずだから大丈夫」と過信するのは危険です。
- 派遣先も「不法就労助長罪」の対象に もし、「技・人・国」の資格を持つ外国人に、その資格では認められない単純作業(例:梱包のみ、清掃のみ、接客のみ等)を行わせた場合、実際に指示を出している派遣先企業も「不法就労助長罪」に問われます,。罰則は「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金」と非常に重いものです。
- 業務内容の適合性を自ら確認する 派遣会社から「この人は就労ビザを持っています」と言われても、その「資格」と「自社で任せる業務」が合致しているか、派遣先自らが確認しなければなりません。
- 令和8年3月からの運用変更と「誓約書」 令和8年3月9日以降の申請分からは、派遣形態での就労ルールが厳格化されます。具体的には、派遣会社だけでなく派遣先企業も「申請人の派遣労働に関する誓約書」を作成・提出しなければならなくなります,。この誓約書では、派遣先が在留資格の活動範囲を理解し、適切な業務に従事させることを誓約します。
行政書士からのアドバイス:リスク回避のための3ステップ
派遣先企業として、法的リスクを回避するために以下の点を確認してください。
- 在留カードの確認: 派遣される方の在留カードを見て、在留資格が「技術・人文知識・国際業務」であることを確認し、期限が切れていないかチェックしてください。
- 業務指示の明確化: 現場の担当者が、本人の在留資格で認められない業務(現場のヘルプなど)をついでに頼んでしまわないよう、徹底した教育が必要です。
- 新制度への対応準備: 令和8年3月以降は、入管局が派遣会社だけでなく、派遣先に対しても直接、業務内容の調査を行う場合があると明記されています。誓約書に虚偽があった場合、今後の外国人受け入れに大きな支障が出る可能性があります。
「派遣社員をこの業務に就かせて大丈夫?」といった判断や、新制度に伴う誓約書の準備など、不安な点がある派遣先企業の皆様は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
参考資料:
- 出入国在留管理庁「就労資格の在留諸申請に関連してお問い合わせの多い事項について(Q&A)」Q37, Q38,
- 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』をもって派遣形態で就労する場合の取扱いについて」(令和8年2月)

