前回の続きです。
応募者対応の文面を作成する
採用活動では、応募者とのやり取りも大切です。
応募受付、面接日程の調整、結果通知など、応募者に送る文章は会社の印象を左右します。
例えば、
- 応募受付メール
- 面接日程調整メール
- 面接前日の案内
- 採用通知
- 不採用通知
- 入社前の持ち物案内
などです。
AIを使えば、これらの文面を短時間で作成できます。
例えば、
応募者に送る面接日程調整メールを作成してください。
候補日は3つ提示します。
丁寧で分かりやすく、堅すぎない文面にしてください。
このように依頼すれば、すぐにたたき台が作成できます。
特に不採用通知は、表現に気を使う文面です。
AIに依頼する場合も、
応募者に失礼のない、不採用通知メールを作成してください。
理由の詳細には触れず、応募へのお礼を丁寧に伝えてください。
と指示することで、角の立ちにくい文章を作成できます。
採用活動では、採用する人だけでなく、不採用となった人への対応も会社の信用に関わります。
面接質問を整理する
面接では、限られた時間の中で応募者の経験や考え方を確認する必要があります。
しかし、準備不足のまま面接を行うと、
- 何を聞けばよいか分からない
- 世間話で終わってしまう
- 応募者ごとに質問がバラバラになる
- 採用後にミスマッチが分かる
ということが起こりやすくなります。
AIは、面接で確認すべき質問を整理するのにも役立ちます。
例えば、
製造業の現場作業スタッフを採用する面接で、確認すべき質問を10個考えてください。
未経験者向けで、安全意識、協調性、継続して働く意思を確認できる内容にしてください。
このように依頼すると、職種や目的に応じた質問案を作成できます。
例えば、
- これまでに、決められた手順を守って作業した経験はありますか
- 分からないことがあったとき、どのように確認しますか
- チームで仕事をするときに大切にしていることは何ですか
- 長く働くうえで重視している条件は何ですか
といった質問です。
ただし、面接では聞いてはいけない事項にも注意が必要です。
本籍地、家族構成、思想信条、宗教、支持政党など、採用判断に関係のない個人的事項に踏み込む質問は避けるべきです。
AIが作成した質問案も、そのまま使うのではなく、適切な内容か確認してから使用することが大切です。
採用後の説明資料を作る
採用活動は、内定を出して終わりではありません。
入社後に安心して働いてもらうためには、最初の説明が重要です。
例えば、
- 入社初日の流れ
- 持ち物
- 勤務時間
- 休憩時間
- 欠勤・遅刻の連絡方法
- 給与支払日
- 有給休暇の申請方法
- 作業服や安全靴のルール
- 社内設備の使い方
などを整理しておくと、新入社員の不安を減らすことができます。
AIを使えば、新入社員向けの説明資料やチェックリストを作成できます。
例えば、
中小企業の新入社員向けに、入社初日に説明する内容のチェックリストを作成してください。
勤務ルール、勤怠、給与、作業服、安全教育、相談窓口を含めてください。
このように依頼すれば、入社時説明の抜け漏れを防ぐことができます。
行政書士の視点で見ても、採用後の説明や書面整備はとても重要です。
雇用条件や社内ルールが曖昧なままだと、後々トラブルにつながることがあります。
AIは、こうした説明資料作成の第一歩として活用できます。
外国人材採用でのAI活用
外国人材の採用を検討している企業では、AIの活用場面がさらに広がります。
例えば、
- 求人票をやさしい日本語にする
- 外国人向けの会社説明文を作る
- 面接時の質問項目を整理する
- 入社後の生活ルールを分かりやすくする
- 社内マニュアルを多言語化する
- 日本語教育用の教材を作る
といった使い方が考えられます。
特に重要なのは、単に翻訳するだけでなく、相手に伝わる表現にすることです。
日本語の社内文書をそのまま外国語に翻訳しても、制度や職場文化の違いにより、十分に理解されないことがあります。
そのため、
次の文章を、外国人従業員にも分かりやすい、やさしい日本語にしてください。
その後、ベトナム語に翻訳してください。
というように、まず分かりやすい日本語に整理してから翻訳する使い方が有効です。
外国人材採用では、在留資格の確認も欠かせません。
どの在留資格で働けるのか、予定している業務内容と在留資格が合っているのか、雇用契約の内容に問題がないかなど、慎重な確認が必要です。
AIは説明資料の作成や情報整理には役立ちますが、在留資格の判断をAIだけで行うのは危険です。
外国人雇用に関する手続きや判断については、行政書士の専門家に相談することが望ましいでしょう。
採用活動でAIを使う際の注意点
採用活動にAIを使う場合には、いくつか注意点があります。
1 応募者の個人情報を安易に入力しない
履歴書や職務経歴書には、氏名、住所、学歴、職歴、連絡先など多くの個人情報が含まれます。
AIにそのまま入力することは避けるべきです。
どうしても内容を整理したい場合は、個人が特定されない形に加工して使用する必要があります。
2 AIだけで採用判断をしない
AIに応募者を評価させるような使い方は慎重に考えるべきです。
採用判断には、経験や能力だけでなく、会社との相性、本人の希望、職場環境など、さまざまな要素が関係します。
AIはあくまで補助ツールであり、最終判断は人が行う必要があります。
3 差別的な表現に注意する
求人票や面接質問では、年齢、性別、国籍、家族構成などについて、不適切な表現にならないよう注意が必要です。
AIが作成した文章にも、意図せず不適切な表現が含まれる可能性があります。
求人票や面接質問は、必ず人が確認してから使用しましょう。
4 雇用契約や労働条件は正確に確認する
求人票に記載する労働条件や、採用後に交付する雇用契約書の内容は非常に重要です。
給与、労働時間、休日、業務内容、勤務地、契約期間などが曖昧だと、後のトラブルにつながります。
AIで文章を整えることはできますが、労働条件そのものの確認は専門家や公的情報に基づいて行う必要があります。
まずは求人票の見直しから始める
採用活動でAIを使い始めるなら、まずおすすめしたいのは求人票の見直しです。
すでに使っている求人票があれば、次のようにAIに依頼できます。
次の求人票を、応募者に伝わりやすい文章に改善してください。
仕事内容が分かりやすくなるようにし、会社の雰囲気も伝わるようにしてください。
ただし、労働条件は変更しないでください。
このとき大切なのは、AIに労働条件を勝手に変えさせないことです。
AIは文章を魅力的にしようとして、実際には存在しない制度や待遇を加えてしまうことがあります。
そのため、
「労働条件は変更しない」
と明確に指示することが重要です。
求人票は、会社と応募者をつなぐ大切な入口です。
まずは既存の求人票を分かりやすく整えるだけでも、採用活動の改善につながります。
まとめ
採用活動は、求人を出して応募者を待つだけの仕事ではありません。
求める人物像の整理、求人票の作成、応募者対応、面接準備、採用後の説明資料作成まで、多くの準備が必要です。
AIは、
- 求める人物像の整理
- 求人票の文章作成
- 会社PR文の作成
- 応募者対応メールの作成
- 面接質問の整理
- 新入社員向け資料の作成
- 外国人材向けのやさしい日本語化
などに活用できます。
一方で、応募者の個人情報の取り扱い、差別的表現、雇用条件の正確性、外国人材の在留資格確認には十分注意が必要です。
AIは採用担当者の代わりに人を選ぶものではありません。
しかし、採用活動の準備や文章作成を効率化し、応募者に会社の魅力を分かりやすく伝えるための強力な支援ツールになります。
人手不足の時代だからこそ、採用活動そのものを見直し、AIを上手に取り入れていくことが重要です。
次回予告
第6回は、
「外国人雇用でAIを活用する」
をテーマに、やさしい日本語、多言語対応、社内教育、安全教育、在留資格手続きにおける注意点などについて解説します。

