外国人社員だけの安全教育にしない
事故を防ぐ会社の仕組みづくり
外国人社員への安全教育というと、
「外国人向けに特別な教育をしなければならない」
と考えるかもしれません。
しかし、本当に大切なのは、外国人社員だけに特別対応することではありません。
誰が入社しても、同じように安全を理解できる仕組みを会社の中につくることです。
教える人によって内容を変えない
現場では、教育担当者によって説明内容が違うことがあります。
Aさんは、
「必ずここを確認してください」
と言うのに、Bさんは、
「そこは見なくても大丈夫」
と言う。
これでは、外国人社員だけでなく、日本人の新人社員も混乱します。
まずは、
- 正しい作業手順
- 危険なポイント
- 必ず確認する項目
- 異常時の行動
を会社として統一しておくことが大切です。
誰が教えても同じ内容になるよう、教育内容を標準化しましょう。
写真付きの安全ルールを用意する
安全マニュアルが文章ばかりになっている場合は、見直してみましょう。
たとえば、
「回転部には手を入れない」
という文章だけでなく、実際の設備写真に赤い丸や矢印を付ければ、危険箇所がすぐに分かります。
安全ルールは、
「読めば分かる」
ではなく、
見れば分かる
ことを意識すると、より伝わりやすくなります。
教育した記録を残す
安全教育は、一度説明して終わりではありません。
会社として、
「誰に、いつ、何を教えたか」
を記録しておくことも重要です。
たとえば、
- 保護具の使用
- 機械操作
- 非常停止
- フォークリフトとの接触防止
- 火災や地震時の対応
など、教育項目をチェックリストにしておくと管理しやすくなります。
担当者が変わった場合でも、どこまで教育が終わっているか確認できます。
理解度も確認する
教育記録にサインがあるだけで、内容を理解できているとは限りません。
安全教育では、
「説明しました」
ではなく、
「安全に行動できることを確認しました」
というところまで見ることが大切です。
本人に作業をやってもらったり、
「このランプが点いたらどうしますか?」
と質問したりして、理解できているか確認します。
必要であれば、もう一度教育します。
定期的に繰り返す
入社時には覚えていても、時間が経つと安全意識が薄れることがあります。
仕事に慣れてきた頃ほど、
「これくらいなら大丈夫」
という油断も出やすくなります。
そのため、
- 朝礼
- KY活動
- 定期安全教育
- ヒヤリハット共有
- 作業変更時の再教育
などを通じて、繰り返し確認することが必要です。
外国人社員の場合、日本語力が上がることで、最初は理解できなかった説明が分かるようになることもあります。
再教育は、単なる繰り返しではなく、理解を深める機会にもなります。
外国人社員への工夫は全員に役立つ
今回のシリーズでは、
- やさしい日本語で伝える
- 短く具体的に説明する
- 写真や動画を使う
- 実際にやってもらう
- ヒヤリハットを言いやすくする
といった方法を紹介してきました。
これらは、外国人社員だけに有効な方法ではありません。
日本人の新人社員や、経験の浅い社員にとっても分かりやすい安全教育です。
外国人社員の受入れをきっかけに安全教育を見直すことで、会社全体の教育の質を高めることができます。
「伝わる安全教育」を会社の文化に
事故を防ぐために必要なのは、
「本人がもっと注意すること」
だけではありません。
会社として、誰にでも分かる説明を行い、理解できたか確認し、危険を言いやすい環境をつくることが重要です。
外国人社員が安心して働ける職場は、日本人社員にとっても安心して働ける職場です。
安全は、言葉が分かる人だけに任せるものではありません。
誰にでも伝わる安全教育を会社の仕組みにすること。
それが、言葉の壁を事故につなげないための最も大切な取り組みです。
今回の「言葉の壁を事故につなげない―外国人社員の安全教育」全5回が、自社の安全教育を見直すきっかけになれば幸いです。

