第5回:社内文書の見直しでトラブル激減!やさしい日本語のすすめ
― 労務書類やルール文書を“誤解されない”言葉にするテクニック
📍 はじめに:「理解できているはず」が一番危ない
外国人社員とのトラブルや認識のズレ――
実はその多くが、社内文書の“読みづらさ”に原因があることをご存知でしょうか?
- 就業規則を「読んだはず」なのに違反?
- 労働条件通知書の内容が「伝わっていなかった」?
それは、日本語が難しすぎるか、曖昧な言い回しが誤解を生んでいる可能性があります。
この記事では、誰でもすぐに使える「やさしい日本語」の実践ポイントを紹介します。
📄 そもそも「やさしい日本語」とは?
- 災害時の情報伝達を目的に生まれた表現法(1995年の阪神淡路大震災がきっかけ)
- 日本語を母語としない人にも伝わりやすく、わかりやすい言い方に言い換える工夫
- 今では、行政文書・医療現場・企業研修にも広がっています
⚠️ 実際にありがちな“誤解される”社内表現
通常の表現 | どこが難しい? | やさしい日本語の例 |
---|---|---|
「〜の際には、〜を遵守してください」 | 「際」「遵守」が難しい | 「〜のときは、〜を守ってください」 |
「原則として〜は禁止です」 | 「原則として」が曖昧 | 「ふつうは〜してはいけません」 |
「本人の都合による早退と見なす」 | 「都合」「見なす」が抽象的 | 「あなたが帰るときは、自分の理由で帰ったことになります」 |
💡 トラブルを防ぐ3つの見直しポイント
1. 助詞の多用を避け、短く区切る
例:「会社で働く人が、会社のルールをまもって、けががないようにすることが、大事です」
→ 「会社で働く人は、ルールをまもります。けがをしないようにします」
2. カタカナ語・専門用語に補足をつける
例:「コンプライアンス(法律やルールを守ること)」とカッコ書きを使う
3. 文書の要点を「見える化」
- 見出し・アイコン・箇条書きなどで視覚的に整理
- 動画や図解と併用するのも効果的!
👥 現場で活かせる!やさしい日本語テンプレート例
- 「休むときは、◯◯さんに言ってください」(→出勤連絡)
- 「ごみをすてる日は、◯曜日です」(→生活ルール)
- 「この機械は、◯◯のときに使えます。けがに気をつけてください」(→作業手順)
翻訳よりも「日本語そのものをわかりやすく」することで、相互理解が深まり、翻訳ミスも減ります。
✍️ おわりに:伝わる言葉は、信頼を育てる
外国人社員にとって、日本語は「壁」ではなく「橋」になり得ます。
正確な理解ができる社内文書は、働く意欲・安心感を支える大きな要素です。
やさしい日本語は、“やさしさ”の言葉づかい。
制度よりも先に、「伝えたい」という姿勢が、現場の信頼をつくります。