申請書の「希望期間」と「予定期間」:数値の不一致はエラーになる?
外国人雇用を推進する中小企業の経営者・人事担当者の皆様、こんにちは。行政書士の山本です。
入管の申請書において、本人と会社がそれぞれ記入する「期間」の整合性は非常に重要なチェックポイントとなります。
今回は、公式Q&A(Q28)に基づき、申請書内の「希望する在留期間」と「就労予定期間」の考え方について解説します。
1. 結論:原則として一致させるべき「同期項目」
結論から申し上げますと、「申請人が希望する在留期間」と「所属機関が予定する就労期間」は、原則として一致している必要があります。
入管の審査官は、本人の意向(希望)と企業の受け入れ計画(予定)が同期しているかを確認することで、雇用契約の信憑性を検証します。
2. 根拠:契約期間に基づいた「入力値」の決定
入管庁の回答に基づき、期間を記入する際のロジックを構造化します。
① 雇用契約期間との整合性
- 雇用契約書で「期間の定めなし(正社員)」としている場合は、希望・予定ともに、現状の制度上最長である「5年」と記入するのが一般的です。
- 有期契約(1年更新など)の場合は、その契約期間に合わせた数値を記入します。
② 審査への影響
- 本人が「1年」を希望しているのに、会社が「5年」と書いている場合、あるいはその逆の場合、審査官は「双方が契約内容を正しく理解していないのではないか」という疑義(例外エラー)を抱く可能性があります。
3. 具体例:実務上の「書き方」ガイドライン
実務において、どのような数値を入力すべきか迷った際は、以下の仕様を参考にしてください。
- 正社員(期間の定めなし)の場合:
- 希望する在留期間:「5年」
- 就労予定期間:「無期」 または 「(空欄にせず)長期」(※ただし、申請書の形式上、年数を書く場合は「5年」と揃えるのがスムーズです)
- 契約社員(1年更新)の場合:
- 希望する在留期間:「1年」
- 就労予定期間:「1年」
【多角的なアドバイス】
- コンプライアンス(行政書士)視点: 「5年」と書けば必ず5年が許可されるわけではありません。実際の付与期間は、企業の規模(カテゴリー)やこれまでのコンプライアンス遵守状況などを踏まえ、入管側が決定(アウトプット)します。しかし、最初から弱気に短い期間を書くと、それ以上の期間が出ることはまずありませんので、契約内容に応じた最大値を書くのが戦略的です。
- コスト・労務(社労士)視点: 「就労予定期間」は、単なる希望的観測ではなく、締結した雇用契約書や労働条件通知書のエビデンスと完全に一致していなければなりません。ここがズレると、労働基準法違反や虚偽申請を疑われるリスクに繋がります。
- 効率化・DX(エンジニア)視点: 在留申請オンラインシステムを利用する場合、本人用と会社用のデータを別々に作成しますが、最終的な送信前に「期間の不整合」がないか自動でプレチェックするフローを社内で設けておきましょう。データの不整合という単純なミスで審査が遅れるのは、非常にもったいないロスです。
関連キーワード
希望する在留期間、就労予定期間、雇用契約期間、整合性の確認、5年、無期雇用
次回予告
次回は、「Q29:国内の短期大学を卒業した外国人を翻訳・通訳業務で採用したいのですが、「技術・人文知識・国際業務」の基準である「大学を卒業し、又はこれと同等以上の教育を受けた者」に該当しますか。」について解説します。
生成AI活用の提案
「雇用契約書」のPDFをAIに読み込ませ、申請書の「希望する在留期間」と「就労予定期間」に記入すべき最適値を自動抽出・提示するツールを活用しましょう。人間による転記ミスを排除し、常に契約と整合した「一貫性のある申請書」を生成できます。

