― Codexで始める業務改善10のヒント【第1回】
近年、多くの中小企業にとって「人手不足」は避けて通れない大きな課題になっています。
求人を出してもなかなか応募が集まらない。
採用できても、教育に時間がかかる。
ベテラン社員に仕事が集中し、若手や外国人スタッフへの引き継ぎが進まない。
現場の仕事に追われ、事務作業や書類整理が後回しになる。
こうした悩みは、製造業、建設業、運送業、介護、飲食、サービス業など、さまざまな業種で起きています。
人が足りないからといって、すぐに人を増やせる時代ではありません。
だからこそ、これからの中小企業には「限られた人数で、いかに仕事を回すか」という視点がますます重要になります。
そのための選択肢の一つが、AIの活用です。
AIは大企業だけのものではない
「AI活用」と聞くと、大企業が大きな予算をかけて導入するもの、専門のシステム担当者がいる会社だけが使うもの、というイメージを持たれるかもしれません。
しかし、最近のAIは、必ずしも大企業だけのものではありません。
たとえば、文章を作る、表を整理する、アイデアを出す、マニュアルを作る、メール文を整える、データを分類する、といった作業であれば、中小企業でも十分に活用できます。
むしろ、人員に余裕がない中小企業こそ、AIとの相性がよい場面があります。
なぜなら、中小企業では一人の担当者が複数の業務を抱えていることが多いからです。
社長が営業も採用も事務も見る。
現場責任者が教育資料も作る。
事務担当者が経理、総務、書類管理、外国人スタッフの対応までこなす。
こうした状況では、「ちょっとした作業を減らすこと」が大きな効果につながります。
AIは、人の代わりにすべてを判断するものではありません。
しかし、人が毎回ゼロから考えていた作業、繰り返し行っていた作業、時間を取られていた整理作業を手助けすることはできます。
人手不足対策は「採用」だけではない
人手不足への対策というと、まず思い浮かぶのは採用です。
もちろん、必要な人材を採用することは大切です。
しかし、採用だけに頼るのは簡単ではありません。
求人広告を出しても応募が少ない。
採用しても、すぐに戦力化できるとは限らない。
教育する側の社員にも時間的な余裕がない。
外国人材を雇用する場合には、言葉や文化、書類管理などの面でも工夫が必要になる。
つまり、人手不足対策には「人を増やす」だけでなく、「今いる人が働きやすい仕組みを作る」ことも必要です。
たとえば、次のような改善です。
・毎回手作業で作っている書類をテンプレート化する
・紙やPDFで散らばっている情報を整理しやすくする
・作業手順書やマニュアルをわかりやすく整える
・新人や外国人スタッフにも伝わる説明資料を作る
・Excelで管理している台帳を使いやすくする
・確認漏れを防ぐチェックリストを作る
・社内ルールや注意事項を見える化する
こうした小さな改善の積み重ねが、現場や事務の負担を軽くします。
AIは、このような「小さな業務改善」を進めるうえで、強力な助けになります。
Codexとは何か
この特集では、AI活用の中でも特に「Codex」に注目します。
Codexは、簡単にいうと、業務改善のためのプログラムやツールづくりを手伝ってくれるAIです。
ChatGPTが「相談相手」や「文章作成の補助」として使いやすいAIだとすれば、Codexは「実際に仕組みを作ることを手伝うAI」と考えるとイメージしやすいでしょう。
たとえば、次のようなことに活用できます。
・Excelデータを整理する
・CSVファイルを変換する
・ファイル名を自動で整える
・入力フォームを作る
・簡単な業務管理ツールを作る
・PDFや画像データの整理を補助する
・チェックリストや台帳を使いやすくする
・繰り返し作業を自動化する
もちろん、Codexを使えば何でも一瞬で解決できるわけではありません。
業務の内容を整理し、何を自動化したいのか、どこを改善したいのかを考える必要があります。
しかし、これまでであれば「システム会社に頼まないと難しい」と思っていたような小さな改善を、自社の実情に合わせて試しやすくなってきています。
ただし、初心者が一人で始めるとつまずきやすい
Codexはとても便利なAIですが、初めて使う方にとっては、最初からスムーズに使いこなせるとは限りません。
たとえば、
・何から始めればよいかわからない
・自社の業務のどこに使えるのかわからない
・AIにどう指示すればよいかわからない
・作られたツールが本当に正しく動いているか不安
・エラーが出たときにどう直せばよいかわからない
・社内の情報をどこまでAIに入力してよいかわからない
・一度作って終わりではなく、実際の業務に合わせて直していく必要がある
このような壁にぶつかることがあります。
特に中小企業の場合、専任のIT担当者がいないことも珍しくありません。
そのため、「AIを使えば便利そうだ」と思っても、最初の一歩で止まってしまうことがあります。
AI活用で大切なのは、単にツールを導入することではありません。
自社の業務を整理し、何を改善したいのかを明確にし、実際に使える形に落とし込むことです。
ここには、ある程度の伴走支援が必要になる場面があります。
行政書士として、中小企業のAI活用を伴走サポートします
私は行政書士として、外国人雇用や中小企業支援に関わる視点を大切にしながら、Codexを活用した業務改善のサポートにも取り組んでいます。
行政書士というと、許認可申請や在留資格の手続きをイメージされる方が多いかもしれません。
もちろん、外国人雇用に関する在留資格、書類作成、各種手続きの支援は重要な業務です。
しかし、外国人材を受け入れ、安定して働いてもらうためには、手続きだけでなく、職場の仕組みづくりも大切です。
たとえば、
・外国人スタッフにも伝わる作業手順書を作る
・やさしい日本語のマニュアルを整備する
・教育の進み具合をチェックリストで管理する
・在留期限や更新時期を管理しやすくする
・雇用関係の書類を整理する
・社内ルールや注意事項をわかりやすくまとめる
・担当者しかわからない業務を見える化する
こうした取り組みは、外国人スタッフだけでなく、日本人スタッフにとっても働きやすい職場づくりにつながります。
Codexを使えば、こうした業務改善を進めるための小さなツールや仕組みを作ることができます。
ただし、実際に使える形にするには、会社ごとの業務内容や現場の流れを確認しながら進める必要があります。
そのため、私は「AIを紹介して終わり」ではなく、実際の業務に合わせて、どこに使えるか、どう使うか、どう改善していくかを一緒に考える伴走サポートを行っていきたいと考えています。
中小企業に必要なのは「大きなDX」より「小さな改善」
DXという言葉を聞くと、大がかりなシステム導入や会社全体の改革をイメージするかもしれません。
しかし、中小企業にとって、最初から大きなDXを目指す必要はありません。
むしろ大切なのは、日々の業務の中にある小さな困りごとを見つけることです。
たとえば、
「毎月同じような集計をしている」
「紙の書類を探すのに時間がかかる」
「新人に同じ説明を何度もしている」
「外国人スタッフに作業内容がうまく伝わらない」
「Excelの入力ミスがよく起きる」
「担当者しかわからない仕事が多い」
こうした問題は、一つひとつは小さく見えるかもしれません。
しかし、毎日、毎週、毎月繰り返されることで、会社全体の大きな負担になります。
Codexを使った業務改善は、こうした小さなムダや負担を減らすところから始められます。
重要なのは、「AIで会社を一気に変える」ことではありません。
まずは、今ある業務の中で、少しでも楽にできる部分を見つけることです。
外国人雇用にもAI活用は役立つ
人手不足を背景に、外国人材の雇用を検討する中小企業も増えています。
外国人スタッフを雇用する場合、在留資格や雇用管理の問題だけでなく、職場でのコミュニケーション、教育、定着支援も重要になります。
たとえば、
・作業手順をやさしい日本語で説明する
・注意事項を多言語で伝える
・写真付きのマニュアルを作る
・面談記録を整理する
・教育の進み具合をチェックリストで管理する
・職場ルールをわかりやすくまとめる
こうした取り組みは、外国人スタッフだけでなく、日本人スタッフにとっても働きやすい職場づくりにつながります。
AIは、こうした資料作成や情報整理の負担を減らすことができます。
そしてCodexを活用すれば、自社に合ったチェック表や管理ツールを作ることも可能になります。
外国人雇用を成功させるためには、「採用して終わり」ではなく、働き続けられる環境を整えることが大切です。
その意味でも、AIを活用した業務改善は、これからの中小企業にとって重要なテーマです。
この特集でお伝えすること
この特集「人手不足時代の中小企業AI活用 Codexで始める業務改善10のヒント」では、中小企業がAIをどのように業務改善に活かせるのかを、全10回にわたって紹介していきます。
難しい専門用語や大規模なシステム導入の話ではなく、日々の仕事に近いテーマを中心に取り上げます。
予定している内容は、次のようなものです。
・ChatGPTとCodexの違い
・Excel作業の効率化
・紙、PDF、画像データの整理
・現場で使える小さな業務ツール
・作業手順書やマニュアルの作成
・外国人スタッフにも伝わる資料づくり
・採用、教育、定着を支える仕組み
・総務、経理、労務まわりの業務改善
・AIを使う際の情報管理ルール
・自社専用ツールづくりの始め方
AI活用というと難しく感じるかもしれません。
しかし、最初の一歩はとてもシンプルです。
「この作業、毎回同じことをしているな」
「この書類、もっと整理しやすくならないかな」
「この説明、誰にでも伝わる形にできないかな」
そうした日々の小さな気づきが、AI活用の出発点になります。
そして、その一歩を一人で悩まずに進められるよう、行政書士として、制度面・書類面・現場の業務改善の視点からサポートしていきます。
まとめ
人手不足の時代に、中小企業が生き残り、成長していくためには、限られた人員で仕事を回せる仕組みづくりが欠かせません。
AIは、人の仕事をすべて奪うものではありません。
むしろ、人が本来やるべき判断、接客、技術、教育、改善活動に時間を使えるようにするための道具です。
Codexを活用すれば、これまで手作業で行っていた業務や、担当者の経験に頼っていた作業を、少しずつ見える化し、効率化していくことができます。
ただし、初心者が一人で始めると、設定や使い方、指示の出し方、エラー対応、情報管理などでつまずくこともあります。
だからこそ、最初から完璧を目指すのではなく、自社の身近な困りごとを一緒に整理し、小さな改善から始めることが大切です。
私は行政書士として、外国人雇用や中小企業支援の視点を活かしながら、Codexを活用した業務改善を伴走サポートしていきます。この記事を読んで、気になる点、不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
次回は、ChatGPTとCodexの違いについて、中小企業の業務改善という視点からわかりやすく整理していきます。

