Q23:外国人の在留期間更新許可申請の必要書類として、「住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)」が必要とあります。しかし、昨年新規採用した社員は昨年1月1日現在日本に住居地を有しておらず証明書の発給を受けられないとのことなのですが、本人が申請するに当たりどのような書類があればよいですか。
外国人雇用を推進する中小企業の経営者・人事担当者の皆様、こんにちは。行政書士の山本です。
入管手続きにおいて、日本での課税実績がない期間については、代替となるデータで「誠実な履行」を証明する必要があります。
今回は、公式Q&A(Q23)に基づき、昨年新規採用した社員が住民税の証明書を発行できない場合の論理的な解決策について解説します。
1. 結論:発行できない理由を補足し、代替書類を提出する
昨年1月1日時点で日本に住所がなかった外国人(新入社員など)は、物理的に「住民税の課税・納税証明書」を発行することができません。この場合は、証明書が出せない理由を明記した「理由書」に、「給与所得の源泉徴収票」などの代替資料を添えて提出することで、審査の入力データ(エビデンス)として受理されます。
2. 根拠:住民税の賦課期日と「1月1日」の壁
入管庁の回答に基づき、なぜ証明書が出せないのか、その仕組みを構造化します。
① 住民税の仕組み(賦課期日)
- 住民税は、毎年1月1日時点で住民票がある自治体に対して、前年の所得に基づき納める税金です。
- したがって、昨年中に入国・採用された方は、昨年の1月1日には日本に住んでいないため、その自治体に課税データが存在しない状態となります。
② 入管が確認したい「目的」
- 更新申請において入管が確認したいのは、「公的義務(納税)を適切に果たしているか」というコンプライアンスの遵守状況です。証明書が出せないこと自体は落ち度ではなく、その期間の所得を別の形で疎明できれば問題ありません。
3. 具体例:提出すべき「代替パッケージ」の構成
実務において、証明書が出せない場合は以下のセットを準備します。
- 理由書(任意様式):「令和〇年1月1日時点では日本に入国しておらず(または居住しておらず)、住民税の賦課期日を過ぎていたため、証明書の発行が不可能である」旨を論理的に記述します。
- 給与所得の源泉徴収票(写し): 入社から現在までの所得を証明する最も信頼性の高いデータです。
- 預金通帳の写し(必要に応じて): 給与が適正に振り込まれていることを示す補足データとして有効です。
【多角的なアドバイス】
- コンプライアンス(行政書士)視点: 1月1日時点で日本にいたにもかかわらず「未申告」で証明書が出ないケースとは、明確に区別する必要があります。単に「出せません」と言うのではなく、パスポートの入国スタンプの写しなどを添えて「居住していなかった事実」を客観的に証明(デバッグ)することが重要です。
- コスト・労務(社労士・FP)視点: 2年目からは住民税の給与天引き(特別徴収)が始まります。1年目に住民税がなかった分、2年目から手取り額が減少するため、本人の生活設計(FP的視点)が狂わないよう、事前のアナウンスを行っておくことが「誠実な労務管理」に繋がります。
- 効率化・DX(エンジニア)視点: 社員の入国日と1月1日の相関を自動チェックする「更新書類シミュレーター」を運用しましょう。在留申請オンラインシステムでは、証明書をスキャンしてアップロードしますが、発行不可の理由書もPDF化して一つの「申請パッケージ」としてマージ(統合)しておくことで、審査官の確認工数を削減できます。
関連キーワード
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次回予告
次回は、「Q24:自社で採用した後、派遣社員として他社で勤務してもらう場合、派遣先の会社資料も必要になりますか」について解説します。
生成AI活用の提案
「入国日」と「申請日」を入力するだけで、今回の申請で住民税の証明書が必要かどうかを自動判定し、必要であれば「役所への請求用メモ」、不要であれば「入管への理由書ドラフト」を生成するプロンプトを活用しましょう。事務作業の「手戻り」をゼロに抑えることができます。
「新入社員の更新期限が迫っているが、必要書類が揃うか不安だ」「理由書の書き方を教えてほしい」という方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

