ヒヤリハットを言える職場に
外国人社員から危険情報を引き出す方法
事故を防ぐためには、実際に事故が起きる前の「ヒヤリ」「ハッとした」経験を集めることが大切です。
しかし、外国人社員の場合、
「怒られるかもしれない」
「日本語でうまく説明できない」
「自分のミスだと思われたくない」
と考えて、危険な出来事を報告しないことがあります。
せっかく本人が危険に気づいていても、それが会社に伝わらなければ改善につながりません。
「誰が悪いか」より「何が危なかったか」
ヒヤリハットを聞くときに大切なのは、最初から責任を追及しないことです。
たとえば、
「なぜそんなことをしたのですか?」
と聞くと、本人は叱られていると感じるかもしれません。
代わりに、
「どこが危なかったですか?」
「そのとき、機械はどうなりましたか?」
「次はどうすれば安全ですか?」
と聞く方が、状況を話しやすくなります。
まずは、危険な情報を出してくれたことを前向きに受け止めることが重要です。
日本語で説明させすぎない
ヒヤリハットの報告書には、
「発生状況を詳しく記入してください」
といった欄がよくあります。
しかし、日本語を書くことが苦手な外国人社員にとっては、それだけで報告のハードルが上がります。
そこで、
- 危険だった場所の写真を撮る
- 写真に丸や矢印を付ける
- 現物を見ながら説明してもらう
- 「いつ・どこ・何が危なかった」の簡単な項目にする
など、言葉に頼りすぎない方法を取り入れます。
「書けないから報告できない」という状態をなくすことが大切です。
小さな「危ない」を歓迎する
外国人社員から、
「ここ、少し危ないです」 と言われたとき、
「今まで事故は起きていないから大丈夫」
で終わらせてしまうと、次から言わなくなるかもしれません。
すぐに改善できない場合でも、
「教えてくれてありがとう」
「一度確認します」
と受け止めましょう。
本人の意見が実際に改善につながれば、
「危ないことを言ってもいいんだ」
という安心感が生まれます。
これは外国人社員だけでなく、職場全体の安全文化にもつながります。
朝礼やKYでも参加しやすくする
製造現場では、朝礼やKY活動で危険について話し合うことがあります。
ただし、日本語の会話についていけない外国人社員が、ただ聞いているだけになっていないでしょうか。
たとえば、
「今日の仕事で危ないところはどこですか?」
と聞き、設備の写真や作業場所を見せながら答えてもらう方法があります。
「手を入れない」
「ここは滑る」
「フォークリフトに注意」
といった短い言葉でも構いません。
自分の言葉で危険を確認すること自体が、安全意識を高めることにつながります。
報告できる職場が事故を防ぐ
ヒヤリハットは、失敗を報告するためのものではありません。
事故になる前に、職場の危険を見つけるための大切な情報です。
そのためには、
- 報告した人を責めない
- 難しい日本語を求めない
- 写真や現物を使う
- 小さな気づきも歓迎する
- 改善した結果を本人に伝える
といった工夫が大切です。
外国人社員が「危ない」と安心して言える職場は、日本人社員にとっても安全な職場です。
事故を防ぐ第一歩は、社員が危険を見つけたときに、迷わず声を上げられる環境をつくることです。
次回はいよいよ最終回です。
外国人社員だけに特別な安全教育をするのではなく、教育内容の標準化や理解度確認、再教育など、事故を防ぐための会社の仕組みづくりについて紹介します。

