情報基準日:2026年8月20日
本連載は、出入国在留管理庁などの公表資料を基にした一般的な解説です。制度には経過措置があり、個別の申請結果を保証するものではありません。実際の申請時には、必ず最新の法令・公表資料をご確認ください。
連載構成
- 第1回 「また変わった」の正体―外国人をめぐる制度改正の全体像
- 第2回 在留カードとマイナンバーカードが一体化―「特定在留カード」とは
- 第3回 在留手続の手数料が大幅改定へ―確定事項と未確定事項を整理
- 第4回 永住者も無関係ではない―公租公課と在留資格取消しの新ルール
- 第5回 技能実習から育成就労へ―2027年4月から外国人雇用はどう変わるか
- 第6回 企業と外国人本人が今から準備すべきこと―実務チェックリスト
第1回 「また変わった」の正体―外国人をめぐる制度改正の全体像
はじめに
「日本に住む外国人のルールが、また変わったらしい」
最近、このような話を耳にした方も多いのではないでしょうか。
実は、今回の変化は一つではありません。在留カード、在留手続の手数料、永住者の公的義務、経営者向けの在留資格、技能実習に代わる新制度など、複数の改正が異なる時期に施行されます。
そのため、ニュースの見出しだけを見ると、すでに始まった制度と、これから始まる制度と、まだ内容が確定していない案が混ざって見えてしまいます。
本連載では、「いつから」「誰に」「何が変わるのか」を6回に分けて整理します。
まず押さえたい改正スケジュール
| 時期 | 主な変更 | 主な対象者 | 現在の状態 |
|---|---|---|---|
| 2025年10月16日 | 在留資格「経営・管理」の許可基準厳格化 | 外国人経営者・起業家 | 施行済み |
| 2026年6月14日 | 特定在留カードの運用開始 | 中長期在留者等 | 施行済み |
| 2026年度中 | 在留資格変更・更新、永住許可等の手数料改定 | 在留外国人 | 法律成立。具体額は政令で決定 |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度の施行 | 技能実習生、受入企業、監理団体等 | 施行日決定済み |
| 2027年4月1日 | 永住許可制度の適正化 | 永住者 | 施行予定 |
| 2029年3月31日まで | JESTA(電子渡航認証制度)の開始 | 査証免除で短期入国する外国人等 | 今後、政令で施行日決定 |
出入国在留管理庁によれば、2026年の改正入管法は、JESTAの創設と在留資格変更・更新等の手数料上限引上げなどを内容としています。ただし、JESTAは主に短期入国者向けであり、すでに日本で生活する中長期在留者に直ちに同じ手続が課されるという話ではありません。
改正の方向性は「受入れ」と「適正化」の両立
近年の外国人制度には、大きく二つの方向性があります。
一つは、人手不足分野で外国人材を適切に受け入れ、働きながら技能や日本語能力を高めてもらうことです。育成就労制度は、その代表例です。
もう一つは、税金・社会保険料の納付、届出、在留活動などのルールをより厳格に確認することです。永住許可制度の適正化や「経営・管理」の基準見直しは、こちらの側面を持っています。
つまり、単純に「外国人に厳しくなった」または「受入れを広げた」と捉えるだけでは不十分です。受入れを進める一方で、日本で生活・就労するうえでの義務を明確にし、審査や管理を適正化する流れと考えるのがよいでしょう。
「法律が成立」と「今日から変更」は同じではない
制度改正の記事を読む際、特に注意したいのが施行日です。
法律が成立・公布されても、すべてが公布日から始まるとは限りません。政令で後日施行日を決める場合や、施行後も既存の在留者に経過措置が設けられる場合があります。
また、「政府案」「政令案」「パブリックコメント中」という段階では、金額や細部が最終確定していません。特に2026年度中に予定される在留手数料改定については、2026年8月20日時点で、法律上の上限額は引き上げられましたが、実際の手数料額は最終確認が必要です。
今回のまとめ
今回の改正は、外国人本人だけの問題ではありません。外国人を雇用する会社、家族、支援機関、行政書士などにも影響します。
次回は、すでに2026年6月14日から始まっている「特定在留カード」を取り上げます。在留カードとマイナンバーカードが本当に一枚になるのか、切替えは義務なのかを分かりやすく解説します。

