第6回 企業と外国人本人が今から準備すべきこと―実務チェックリスト
制度改正への対応は「期限管理」だけでは足りない
ここまで、特定在留カード、手数料改定、永住許可制度の適正化、育成就労制度を見てきました。
これらに共通するのは、外国人本人だけに任せていては対応が難しいということです。一方、会社が本人の生活全般を管理するのも適切ではありません。
必要なのは、本人の自己管理を尊重しながら、会社が雇用主として必要な確認・説明・支援を行う仕組みです。
外国人本人のチェックリスト
在留・届出
- 在留カードの有効期限を把握している
- 在留期間更新の準備を期限のおおむね3か月前から始める
- 転職、退職、離婚、所属機関変更などで届出が必要か確認する
- 引っ越したときは、原則14日以内に住居地の届出をする
- 在留カードを紛失したときの連絡先と手続を知っている
税・社会保険
- 住民税と所得税の未納がない
- 年金の加入・納付記録を「ねんきんネット」などで確認する
- 健康保険または国民健康保険の加入状況を確認する
- 納付が難しいときは放置せず、免除・猶予・分納を相談する
- 納付書、領収書、相談記録を保存する
カード・オンライン手続
- 特定在留カードへ切り替えるか検討する
- 電子証明書の有効期限を確認する
- 更新審査が在留期限をまたぐときは市区町村への手続を確認する
- オンライン申請を利用する場合、受取方法と手数料を最新情報で確認する
外国人雇用企業のチェックリスト
採用時
- 在留カードが真正なものか確認する
- 在留資格、在留期間、就労制限、資格外活動許可を確認する
- 実際の仕事内容が在留資格で認められる活動に該当するか確認する
- 外国人雇用状況の届出を期限内に行う
- 本人が理解できる言語または「やさしい日本語」で労働条件を説明する
在職中
- 在留期限を一覧化し、本人にも事前通知する
- 更新申請中であることを確認し、結果が出るまで管理する
- 配置転換や仕事内容変更が在留資格の範囲内か確認する
- 社会保険への適正加入と分かりやすい説明を行う
- 相談窓口を設け、ハラスメントや生活上の問題を早期に把握する
- 日本語教育を業務時間・費用負担も含めて設計する
退職時
- 離職に関する外国人雇用状況の届出を行う
- 健康保険、年金、住民税、雇用保険の手続を説明する
- 本人が所属機関等の届出を必要とするか案内する
- 在留カードやパスポートを会社が預からない
「経営・管理」の在留資格にも注意
外国人が日本で会社を経営するための在留資格「経営・管理」は、2025年10月16日に基準が改正されました。
新規申請では、事業規模について3,000万円以上の資本金・出資総額等、常勤職員の雇用、申請者の経営・管理経験または一定の学位、日本語能力を有する者の確保、専門家による事業計画の確認など、従来より厳しい基準が設けられています。
改正前から「経営・管理」で在留している人には、施行後3年間の経過措置があります。ただし、2028年10月16日まで何も確認しなくてよいという意味ではありません。次回更新、事業規模、納税・社会保険、事業の実態を早めに点検する必要があります。
参考:在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について(出入国在留管理庁)
社内で作っておきたい「外国人雇用台帳」
会社では、少なくとも次の項目を一覧化すると管理しやすくなります。
| 管理項目 | 確認内容 |
| 在留資格 | 現在の仕事内容と一致しているか |
| 在留期限 | 3か月前、2か月前、1か月前に通知する |
| 更新状況 | 申請日、申請中の証明、許可日、新期限 |
| 就労制限 | 資格外活動許可を含めて確認する |
| 届出 | 雇入れ・離職、所属機関変更等 |
| 社会保険 | 加入、資格取得・喪失、本人説明 |
| 支援・教育 | 日本語教育、面談、相談対応の記録 |
保存する個人情報は必要最小限にし、閲覧できる担当者を限定します。特にマイナンバーは在留管理台帳に安易に転記せず、法令に従って別管理することが重要です。
まとめ―制度改正を定着支援のきっかけに
外国人をめぐる制度は、今後も変わります。そのたびに場当たり的に対応するのではなく、次の四つを仕組みにしておくことが大切です。
- 公的情報を定期的に確認する
- 在留期限と届出を一覧で管理する
- 本人に分かる言葉で説明する
- 判断に迷う案件は早めに専門家へ相談する
制度を守ることは、会社を不法就労助長などのリスクから守るだけではありません。外国人社員が安心して働き、地域で生活し、長く活躍するための土台になります。
今回の改正を、単なる「厳格化」や「手続の負担増」と捉えるのではなく、外国人雇用の管理体制と受入れ環境を見直す機会にしてはいかがでしょうか。
連載末尾に共通掲載する注意書き
※本記事は2026年8月20日時点の公表資料を基にした一般的な解説です。法令、政省令、審査要領、手数料額、経過措置は変更される可能性があります。個別の在留資格や申請については、出入国在留管理庁または行政書士などの専門家にご確認ください。

