― Codexで始める業務改善10のヒント【第4回】
中小企業の業務では、今でも多くの書類が使われています。
見積書、請求書、注文書、納品書、契約書、作業報告書、点検記録、図面、写真、雇用契約書、在留資格に関する書類など、日々の業務の中でさまざまな資料が発生します。
最近では、紙だけでなく、PDF、画像データ、メール添付ファイル、スマートフォンで撮影した写真など、書類の形も多様になっています。
便利になった一方で、次のような悩みも増えています。
「あの書類、どこに保存したかわからない」
「紙では残っているが、データ化されていない」
「PDFのファイル名がバラバラで探しにくい」
「写真はあるが、何の写真かわからなくなった」
「最新版の書類がどれかわからない」
「担当者ごとに保存場所や名前の付け方が違う」
このような書類管理のムダは、日々の小さなストレスになります。
そして、必要なときに書類が見つからないことは、業務の遅れや確認漏れにつながります。
第4回では、紙・PDF・画像データを整理する方法と、Codexを活用した書類管理の改善について考えていきます。
書類管理の問題は「探す時間」に表れる
書類管理の問題は、普段は見えにくいものです。
書類が多少バラバラでも、担当者が覚えているうちは何とか業務が回ります。
しかし、次のような場面で問題が表面化します。
・過去の契約書を確認したい
・請求書の控えを探したい
・取引先から再送を求められた
・監査や確認のために資料を出す必要がある
・外国人スタッフの雇用関係書類を確認したい
・在留資格の更新時期に過去の資料が必要になった
・担当者が不在で、保存場所がわからない
書類が整理されていないと、探すだけで時間がかかります。
場合によっては、同じ書類を作り直したり、取引先や本人に再提出をお願いしたりすることになります。
これは単なる事務作業の問題ではありません。
必要な書類をすぐに確認できない状態は、会社の信用や業務品質にも関わります。
特に雇用関係、契約関係、許認可、在留資格に関する書類は、きちんと管理しておく必要があります。
人手不足の時代には、「探す時間」を減らすことも立派な業務改善です。
紙・PDF・画像が混在すると管理が難しくなる
書類管理が難しくなる原因の一つは、情報の形がバラバラであることです。
たとえば、ある取引先とのやり取りでも、
・見積書はExcel
・注文書はPDF
・納品時の写真はスマートフォン画像
・契約書は紙
・請求書はメール添付
・作業報告は手書き用紙
・社内メモは別のExcelファイル
というように、複数の形式が混在していることがあります。
外国人スタッフの雇用に関する書類でも同じです。
・在留カードの写し
・雇用契約書
・労働条件通知書
・パスポート写し
・資格外活動許可の有無
・在留期限の管理表
・教育記録
・面談記録
・社内説明資料
これらが紙、PDF、画像、Excelに分かれていると、必要なときにすぐ取り出すのが難しくなります。
特に、スマートフォンで撮影した写真は要注意です。
撮影した直後は内容がわかっていても、時間が経つと「何の写真だったか」「誰の書類だったか」「いつのものだったか」がわからなくなることがあります。
書類管理では、まず「どこに」「どの名前で」「どの形で」保存するかを決めることが大切です。
まずはファイル名のルールを決める
書類管理を改善するうえで、最初に取り組みやすいのがファイル名の統一です。
ファイル名がバラバラだと、検索しにくくなります。
逆に、ファイル名のルールが決まっているだけで、かなり探しやすくなります。
たとえば、請求書であれば、
2026-07-31_請求書_株式会社〇〇_250000円.pdf
のように、日付、書類名、相手先、金額などを入れる方法があります。
契約書であれば、
2026-04-01_雇用契約書_山田太郎.pdf
のように、日付、書類名、氏名を入れる方法があります。
外国人スタッフの書類であれば、
2026-06-01_在留カード写し_氏名.pdf
2026-06-01_労働条件通知書_氏名.pdf
2026-06-01_雇用契約書_氏名.pdf
のようにそろえておくと、後から確認しやすくなります。
ただし、個人情報を含むファイル名には注意が必要です。
保存場所や社内のルールによっては、氏名ではなく社員番号や管理番号を使うほうが安全な場合もあります。
重要なのは、会社として統一されたルールを決めることです。
フォルダ構成もシンプルにする
ファイル名と同じくらい大切なのが、フォルダ構成です。
フォルダが細かすぎると、かえってどこに保存すればよいかわからなくなります。
逆に、大ざっぱすぎると、すべての書類が一つのフォルダに集まってしまい、探しにくくなります。
中小企業では、最初から複雑な管理システムを作るよりも、シンプルな分類から始めるのがおすすめです。
たとえば、
・取引先別
・年月別
・書類の種類別
・部署別
・従業員別
・案件別
といった分類です。
外国人スタッフの書類であれば、
外国人スタッフ管理
├ 01_在留資格関係
├ 02_雇用契約関係
├ 03_教育記録
├ 04_面談記録
├ 05_更新手続き関係
というように、大きな分類を決めておくと管理しやすくなります。
ポイントは、誰が見てもわかることです。
担当者だけがわかるフォルダ名や、省略しすぎた名前は避けたほうがよいでしょう。
たとえば「資料」「一時保存」「その他」「確認用」といったフォルダが増えると、後から探しにくくなります。
Codexでできる書類整理の例
Codexを活用すると、書類整理の中でも、繰り返し行っている作業を効率化できる可能性があります。
たとえば、次のような活用が考えられます。
・ファイル名を一定のルールで変更する
・フォルダ内のPDF一覧を作る
・画像ファイルを日付順に整理する
・書類の種類ごとにフォルダへ分ける
・Excelの台帳とファイル名を照合する
・足りない書類がないかチェックする
・ファイルの更新日や作成日を一覧化する
・古いファイルと新しいファイルを区別する
・重複しているファイルを探す
たとえば、あるフォルダの中に、請求書PDFが大量に入っているとします。
ファイル名が「scan001.pdf」「請求書.pdf」「202607.pdf」のようにバラバラだと、後から探すのが大変です。
このような場合、Codexを使って、ファイル名を一定のルールにそろえるツールを作ることができます。
また、フォルダ内にあるPDFや画像の一覧をExcelに出力し、書類名、保存場所、更新日などを確認できるようにすることも考えられます。
これは大きなシステムではありません。
しかし、日々の書類管理では非常に役立つ小さな改善です。
書類の有無をチェックする仕組み
書類管理で重要なのは、保存されている書類を探しやすくすることだけではありません。
必要な書類がそろっているかを確認することも大切です。
たとえば、外国人スタッフを雇用する場合には、確認・保存しておくべき書類が複数あります。
・在留カードの確認
・在留期限
・在留資格の種類
・雇用契約書
・労働条件通知書
・パスポート写し
・資格外活動許可の有無
・更新手続きに関する資料
・教育記録
・面談記録
これらの書類がバラバラに管理されていると、何がそろっていて、何が不足しているのかがわかりにくくなります。
そこで、Excelのチェックリストとフォルダ内のファイルを照合する仕組みを作ることが考えられます。
たとえば、従業員ごとに必要書類の一覧を作り、保存済みのファイル名と照合することで、不足している書類を確認しやすくなります。
もちろん、最終的な確認は人が行う必要があります。
しかし、チェックのための一覧表を作るだけでも、確認漏れを減らすことができます。
Codexは、このような「台帳とファイルを照らし合わせる」作業にも活用できます。
画像データの整理にも活用できる
中小企業では、現場写真や作業記録の写真をスマートフォンで撮影することも多いと思います。
製造業であれば、設備の状態、改善前後の写真、不具合箇所、製品の状態など。
建設業であれば、施工前、施工中、施工後の写真。
介護やサービス業でも、記録として写真を残す場面があります。
写真は便利ですが、整理しないまま保存していると、後から探すのが大変です。
特に、スマートフォンからパソコンへ取り込んだ画像は、
IMG_0012.jpg
IMG_0013.jpg
IMG_0014.jpg
のような名前になっていることが多く、何の写真かわかりません。
Codexを活用すれば、撮影日ごとにフォルダを分けたり、案件名や現場名を含めたファイル名に変更したり、写真一覧表を作ったりすることができます。
たとえば、
2026-07-10_設備点検_コンプレッサー異音_01.jpg
のようにファイル名を整えるだけでも、後から探しやすくなります。
また、写真と作業報告書をひも付けるための一覧表を作ることも考えられます。
写真整理は地味な作業ですが、現場管理や品質管理では非常に重要です。
紙の書類はスキャン後の整理が大切
紙の書類は、スキャンしてPDF化すれば終わりではありません。
スキャンした後に、どのフォルダへ保存するのか、どのようなファイル名にするのか、原本をどう保管するのかを決めておく必要があります。
よくある問題は、スキャンしたファイルが、
scan.pdf
scan001.pdf
書類.pdf
名称未設定.pdf
のような名前のまま保存されてしまうことです。
これでは、せっかくデータ化しても、後から探すのが大変です。
紙の書類をデータ化する場合には、
・スキャンするタイミング
・保存するフォルダ
・ファイル名のルール
・原本を保管するか廃棄するか
・誰が確認するか
・どの台帳とひも付けるか
をあらかじめ決めておくことが大切です。
Codexを使えば、スキャン後のファイル名を整えたり、保存先のフォルダへ振り分けたり、台帳へ一覧化したりする作業を支援できます。
ただし、契約書や雇用関係書類など、原本の保管が必要な書類もあります。
データ化したからといって、すべての紙を処分してよいわけではありません。
書類の性質に応じて、紙とデータの両方を適切に管理する必要があります。
情報管理とセキュリティに注意する
書類管理をAIで効率化する場合、情報管理には十分な注意が必要です。
PDFや画像には、個人情報や機密情報が含まれていることがあります。
たとえば、
・氏名
・住所
・生年月日
・在留カード番号
・パスポート番号
・給与情報
・取引先情報
・契約内容
・見積金額
・製品情報
・図面や技術情報
こうした情報を扱う場合、外部のAIサービスにそのまま入力したり、アップロードしたりすることには慎重であるべきです。
AIを活用する際には、
・個人情報を含むファイルをそのまま使わない
・サンプルデータに置き換えて検討する
・会社の利用ルールを決める
・使用するAIサービスの設定を確認する
・保存場所やアクセス権限を整理する
・作成したツールの動作を必ず確認する
といった対応が必要です。
便利だからといって、何でもAIに入れてよいわけではありません。
特に外国人雇用に関する書類には、在留カードやパスポート、雇用契約書など、重要な個人情報が含まれます。
こうした情報は、慎重に管理する必要があります。
AI活用と情報管理は、必ずセットで考えるべきテーマです。
行政書士として、書類管理と業務改善を伴走します
私は行政書士として、外国人雇用や中小企業支援の視点を大切にしながら、Codexを活用した業務改善の伴走サポートに取り組んでいます。
外国人材を雇用する会社では、在留資格、雇用契約、労働条件、更新時期、教育記録など、管理すべき書類が多くあります。
これらの書類は、単に保管しておけばよいものではありません。
必要なときに確認でき、期限や不足書類を見落とさない仕組みが必要です。
たとえば、
・外国人スタッフごとの書類管理表を作る
・在留期限や更新時期を確認しやすくする
・必要書類のチェックリストを整備する
・PDFや画像ファイルの保存ルールを決める
・フォルダ構成やファイル名を整理する
・AIを使う際の情報管理ルールを考える
・Codexで小さな管理ツールを作る
こうした取り組みを、会社の実情に合わせて一緒に考えていきます。
初心者が一人でCodexを使って書類整理に取り組むと、ファイルの扱い方、指示の出し方、エラー対応、情報管理などでつまずくことがあります。
だからこそ、まずは現在の書類管理の状態を確認し、無理なく始められる小さな改善から進めることが大切です。
私は、AIを紹介して終わりではなく、実際の業務で使える形にするところまで、伴走してサポートしていきたいと考えています。
まとめ
中小企業の業務では、紙、PDF、画像、Excel、メール添付ファイルなど、さまざまな形で書類が存在しています。
書類が整理されていないと、必要なときに探す時間がかかり、確認漏れや業務の遅れにつながります。
Codexを活用すれば、ファイル名の統一、フォルダ整理、PDF一覧の作成、画像データの整理、台帳との照合、必要書類のチェックなど、書類管理のムダを減らすための小さなツールを作ることができます。
ただし、書類には個人情報や機密情報が含まれることがあります。
特に外国人雇用に関する書類は、在留カード、パスポート、雇用契約書など重要な情報を含むため、AI活用と情報管理をセットで考える必要があります。
大切なのは、いきなり大きなシステムを導入することではありません。
まずは、ファイル名のルールを決める。
保存場所を整理する。
必要書類のチェックリストを作る。
探す時間を減らす。
こうした小さな改善の積み重ねが、人手不足時代の中小企業にとって大きな力になります。
次回は、現場の「ちょっと面倒」を減らす方法について、Codexで作る小さな業務ツールをテーマに考えていきます。
