― Codexで始める業務改善10のヒント【第3回】
中小企業の業務で、今も大きな役割を果たしているのがExcelです。
見積書、請求書、売上管理、顧客台帳、在庫管理、勤怠管理、作業日報、点検記録、教育記録など、さまざまな場面でExcelが使われています。
専用システムを導入していなくても、Excelがあればある程度の管理ができる。
自由に表を作れて、計算もできて、印刷もできる。
その便利さから、多くの中小企業でExcelは欠かせない道具になっています。
一方で、Excel作業には悩みもあります。
毎月同じような入力をしている。
担当者しか使い方がわからない。
ファイルが増えすぎて、どれが最新版かわからない。
入力ミスや転記ミスが起きる。
集計に時間がかかる。
表の形式が人によってバラバラになっている。
このようなExcelまわりの困りごとは、中小企業にとって非常に身近な業務改善テーマです。
第3回では、Codexを活用してExcel作業をどのようにラクにできるのか、見積書、請求書、台帳管理などを例に考えていきます。
Excelは便利だが、属人化しやすい
Excelはとても便利な反面、使い方が自由であるため、業務が属人化しやすいという特徴があります。
たとえば、ある会社で売上管理表を使っているとします。
一見すると普通のExcelファイルでも、実際には、
・どの列に何を入力するのか
・どのセルには数式が入っているのか
・どこを変更してよくて、どこを触ってはいけないのか
・月末にどのシートをコピーするのか
・どのファイルをもとに請求書を作るのか
・集計結果をどこに転記するのか
といった細かいルールが、担当者の頭の中にしかないことがあります。
この状態では、担当者が休んだり、退職したり、別の人に引き継いだりすると、業務が止まってしまう可能性があります。
また、忙しい中で手作業が増えると、入力ミス、コピー漏れ、集計ミス、ファイルの保存ミスなども起きやすくなります。
人手不足の時代には、こうした「特定の人にしかわからないExcel作業」を少しずつ減らしていくことが大切です。
CodexはExcel作業の“繰り返し”を減らせる
Codexは、業務改善のための小さなツールづくりを手伝うAIです。
Excel作業の中でも、特にCodexと相性がよいのは「毎回同じような手順で行っている作業」です。
たとえば、
・複数のExcelファイルを1つにまとめる
・決まった列だけを抜き出す
・CSVファイルをExcel用に整える
・一覧表から請求書データを作る
・ファイル名をルールに沿って変更する
・日報データを月別に集計する
・入力漏れや重複をチェックする
・在留期限や契約更新日が近い人を抽出する
・台帳から必要な情報だけを別シートに出力する
こうした作業は、人が一つずつ手作業で行うと時間がかかります。
しかも、忙しいとミスが出やすくなります。
Codexを使えば、こうした処理を行う小さなプログラムやツールを作ることができます。
もちろん、すべてを一度に自動化する必要はありません。
最初は、「毎月30分かかっている作業を10分にする」「入力漏れをチェックしやすくする」といった小さな改善で十分です。
見積書作成での活用例
中小企業では、見積書をExcelで作成している会社も多いと思います。
たとえば、顧客名、品名、数量、単価、納期、担当者名などを入力し、合計金額を計算して、PDFにして送付する。
このような流れです。
一件ずつであれば大きな負担ではないかもしれません。
しかし、件数が増えると、入力、確認、保存、PDF化、ファイル名の変更など、意外と時間がかかります。
また、次のようなミスも起きやすくなります。
・顧客名の入力ミス
・単価の転記ミス
・消費税の計算ミス
・見積番号の重複
・古い書式を使ってしまう
・PDF名の付け方がバラバラになる
・保存場所を間違える
Codexを活用すれば、たとえば次のような改善が考えられます。
・見積番号を自動で付ける
・入力項目を一覧表から読み込む
・決まった書式に自動で反映する
・PDFとして保存する
・ファイル名を「日付_顧客名_見積番号」のように統一する
・未入力項目をチェックする
・同じ見積番号がないか確認する
こうした仕組みを作ることで、担当者の負担を減らし、ミスも防ぎやすくなります。
請求書作成での活用例
請求書作成も、Excel作業の中で負担になりやすい業務です。
毎月、納品実績や作業実績を確認し、請求金額を計算し、請求書を作成する。
その後、PDF化して、メールで送付し、控えを保存する。
この流れを手作業で行っている場合、月末月初に事務作業が集中します。
特に次のような作業は、時間がかかりやすい部分です。
・売上データから請求対象を探す
・顧客ごとに請求内容をまとめる
・請求書番号を付ける
・金額や消費税を確認する
・PDF化する
・ファイル名を整える
・送付済みかどうかを管理する
Codexを使うと、請求対象の一覧表から顧客ごとにデータを分けたり、請求書作成用のデータを整えたりするツールを作ることができます。
たとえば、
・請求対象データを読み込む
・顧客ごとに請求内容を集計する
・未請求・請求済みを判別する
・請求書番号を自動採番する
・PDF保存用のファイル名を作る
・請求漏れがないか確認する
といった処理です。
もちろん、最終的な金額や請求内容は人が確認する必要があります。
しかし、毎回同じような転記や集計を減らすだけでも、作業時間とミスのリスクを下げることができます。
台帳管理での活用例
中小企業では、さまざまな台帳がExcelで管理されています。
たとえば、
・顧客台帳
・取引先台帳
・社員台帳
・外国人スタッフの在留期限管理表
・契約書管理表
・資格・免許の更新管理表
・備品管理表
・車両管理表
・教育訓練記録
・作業日報
・点検記録
こうした台帳は、会社の業務を支える重要な情報です。
しかし、台帳が増えると、次のような問題が起きやすくなります。
・入力項目が統一されていない
・古い情報が残ったままになっている
・更新日がわからない
・期限が近いものを見落とす
・同じ情報を複数の表に入力している
・担当者によって管理方法が違う
・検索しづらい
Codexを活用すれば、台帳の形式を整えたり、必要な情報を抽出したり、期限が近い項目を確認しやすくしたりできます。
たとえば、外国人スタッフを雇用している会社であれば、在留期限や雇用契約の更新時期を管理する台帳が重要になります。
在留期限の確認漏れは、会社にとって大きなリスクにつながります。
そのため、期限が近い人を早めに把握し、更新手続きの準備を進める仕組みが必要です。
Codexを使えば、在留期限が近いスタッフを一覧で抽出したり、更新時期ごとに並べ替えたり、確認用リストを作ったりすることができます。
これは、単なる事務効率化ではなく、外国人雇用を安定して続けるための管理体制づくりにもつながります。
Excel作業を改善する前に必要なこと
Codexを使ってExcel作業を改善する場合、いきなりツールを作ろうとするよりも、まず現在の業務を整理することが大切です。
確認したいのは、次のような点です。
・何のためのExcelファイルか
・誰が使っているのか
・どの項目を入力しているのか
・どこに時間がかかっているのか
・どこでミスが起きやすいのか
・毎回同じ作業はどこか
・最終的にどのような形にしたいのか
・人が必ず確認すべき部分はどこか
この整理をせずに自動化しようとすると、使いにくいツールになってしまうことがあります。
たとえば、現場では必要のない項目が多すぎたり、逆に確認に必要な項目が抜けていたりすると、せっかく作ったツールも使われなくなってしまいます。
AI活用で大切なのは、現場の実際の流れに合わせることです。
Codexは便利な道具ですが、何を改善したいのかを決めるのは人間です。
だからこそ、最初に業務の流れを見える化することが重要になります。
すべてを自動化しようとしない
Excel作業の改善で大切なのは、すべてを一気に自動化しようとしないことです。
最初から大きなシステムを作ろうとすると、かえって難しくなります。
まずは、次のような小さな改善から始めるのがおすすめです。
・入力漏れをチェックする
・重複データを見つける
・期限が近いものを色分けする
・ファイル名を統一する
・複数ファイルを1つにまとめる
・毎月の集計表を作る
・必要な列だけを抜き出す
・印刷用の一覧表を作る
こうした小さな改善でも、日々の作業はかなりラクになります。
たとえば、毎月1時間かかっていた集計作業が20分になれば、年間でかなりの時間削減になります。
入力漏れや転記ミスが減れば、確認や修正にかかる時間も減ります。
中小企業のAI活用では、「大きな変革」よりも「小さな改善の積み重ね」が大切です。
注意したい情報管理
Excelには、顧客情報、社員情報、売上情報、契約情報、外国人スタッフの在留資格に関する情報など、重要なデータが含まれていることがあります。
そのため、AIを使う際には、情報管理に注意が必要です。
特に、個人情報や機密情報をそのままAIに入力することは避けるべきです。
必要に応じて、氏名や住所、会社名、金額などを伏せたり、サンプルデータに置き換えたりして検討することが大切です。
また、会社としてAIを使う場合には、
・どの情報をAIに入力してよいか
・どの情報は入力してはいけないか
・作成されたツールを誰が確認するか
・業務で使う前にどのようにテストするか
・データの保存場所をどうするか
といったルールを決めておく必要があります。
AI活用は便利ですが、情報管理を軽視してはいけません。
便利さと安全性のバランスを取りながら進めることが大切です。
行政書士として、Excelまわりの業務改善も伴走します
私は行政書士として、外国人雇用や中小企業支援の視点を大切にしながら、Codexを活用した業務改善の伴走サポートに取り組んでいます。
行政書士の業務というと、許認可申請や在留資格の手続きが中心と思われるかもしれません。
しかし、中小企業が外国人材を雇用し、安定して働いてもらうためには、日々の管理体制も重要です。
たとえば、
・外国人スタッフの在留期限管理
・雇用契約や更新時期の管理
・教育訓練記録の整理
・面談記録の管理
・社内ルールやマニュアルの整備
・必要書類のチェックリスト化
・担当者しかわからない業務の見える化
こうした業務は、Excelで管理されていることも多くあります。
ただ、Excelは便利な反面、担当者任せになりやすい道具でもあります。
そのため、Codexを活用して、入力漏れを防ぐ、期限を確認しやすくする、一覧表を整える、チェックリストを作るといった改善を行うことで、会社全体の管理体制を強化できます。
初心者が一人でCodexを使ってExcel改善に取り組むと、どこから始めればよいか、どのように指示すればよいか、作られたツールをどう確認すればよいかでつまずくことがあります。
そこで、私は現場の業務内容を一緒に整理しながら、無理なく始められる小さな改善をサポートしていきます。
まとめ
Excelは、中小企業にとって非常に身近で便利な道具です。
一方で、自由に使えるからこそ、担当者しかわからない管理表になったり、入力ミスや転記ミスが起きたり、同じ作業を毎月繰り返したりすることがあります。
Codexを活用すれば、Excel作業の中にある繰り返し作業を減らし、入力漏れや重複の確認、ファイル整理、集計、台帳管理などを効率化できる可能性があります。
特に、見積書、請求書、顧客台帳、社員台帳、在留期限管理表、教育記録などは、業務改善の対象になりやすい分野です。
ただし、大切なのは、いきなり大きなシステムを作ることではありません。
まずは、今使っているExcelファイルの中で、どこに時間がかかっているのか、どこでミスが起きやすいのかを見つけることです。
そこから、入力漏れチェック、期限管理、ファイル名の統一、集計の自動化など、小さな改善を積み重ねていくことが、中小企業のAI活用の第一歩になります。
次回は、紙、PDF、画像データの整理について、書類管理のムダを減らす方法を考えていきます。

