― Codexで始める業務改善10のヒント【第5回】
中小企業の現場には、毎日のように発生する「ちょっと面倒」な作業がたくさんあります。
作業日報を書く。
点検表にチェックを入れる。
設備の異常を記録する。
作業前後の写真を保存する。
在庫数を確認する。
新人に作業手順を説明する。
紙のチェックリストを回収して、あとでExcelに入力する。
一つひとつは小さな作業かもしれません。
しかし、毎日、毎週、毎月と積み重なると、現場や事務担当者にとって大きな負担になります。
人手不足の時代には、こうした小さな負担を放置しないことが大切です。
大きなシステムを導入しなくても、現場で困っている作業を少しずつ見直すことで、仕事はかなり進めやすくなります。
第5回では、現場の「ちょっと面倒」を減らすために、Codexを使ってどのような小さな業務ツールが作れるのかを考えていきます。
現場の負担は「小さな手間」の積み重ね
現場の仕事では、本来の作業以外にも多くの記録や確認が必要です。
たとえば、製造業であれば、
・作業日報
・設備点検表
・品質チェック表
・不具合記録
・改善提案書
・材料や部品の使用記録
・安全確認チェックリスト
建設業であれば、
・作業前点検
・現場写真
・作業報告
・安全確認
・工程ごとの記録
・協力会社との連絡事項
介護、飲食、サービス業でも、
・申し送り記録
・清掃チェック表
・在庫確認
・シフト確認
・クレーム記録
・教育記録
・ヒヤリハット報告
などがあります。
これらの記録は、会社を守るためにも、品質を保つためにも、教育や改善を進めるためにも重要です。
しかし、記録や確認の方法が古いままだと、現場に負担がかかります。
紙に書いて、あとでExcelに転記する。
写真を撮ったが、どこに保存したかわからなくなる。
チェック表を見ても、誰が確認したのかわからない。
記録は残っているが、集計や分析に使えない。
担当者によって書き方がバラバラになる。
このような状態では、せっかく記録を残していても、業務改善につながりにくくなります。
Codexで作る「小さな業務ツール」とは
Codexを使うと、現場の作業に合わせた小さな業務ツールを作ることができます。
ここでいう業務ツールとは、大がかりなシステムのことではありません。
たとえば、
・日報入力フォーム
・点検チェックリスト
・在庫確認表
・写真整理ツール
・作業手順確認フォーム
・教育進捗管理表
・不具合記録一覧
・期限管理リスト
・ファイル名変更ツール
・CSVやExcelの自動集計ツール
といったものです。
今まで紙やExcelで行っていた作業を、少しだけ使いやすくする。
入力しやすくする。
探しやすくする。
集計しやすくする。
確認漏れを減らす。
それだけでも、現場の負担は軽くなります。
中小企業にとって大切なのは、最初から完璧なシステムを作ることではありません。
現場で実際に困っている作業を一つ選び、小さく改善してみることです。
例1:紙の点検表を入力フォームにする
現場でよく使われているものの一つに、点検表があります。
設備点検、車両点検、清掃点検、安全確認、始業前点検など、業種を問わずチェックリスト形式の記録は多く使われています。
紙の点検表には、手軽に使えるというメリットがあります。
しかし、次のような問題もあります。
・紙を印刷する手間がある
・記入漏れがあっても気づきにくい
・あとで保管する場所が必要
・過去の記録を探しにくい
・集計や傾向分析がしにくい
・事務担当者がExcelに転記している
このような場合、Codexを使って簡単な入力フォームを作ることが考えられます。
たとえば、パソコンやタブレットで、
・点検日
・担当者
・設備名
・点検項目
・異常の有無
・コメント
・写真の有無
を入力できるフォームを作ります。
入力された内容は、ExcelやCSVに保存されるようにします。
これだけでも、紙の回収や転記の手間を減らせます。
また、記録がデータとして残るため、後から検索したり、月ごとの件数を集計したりしやすくなります。
もちろん、現場によっては紙のほうが使いやすい場合もあります。
その場合は、無理にすべてをデジタル化する必要はありません。
大切なのは、現場の流れに合った形にすることです。
例2:作業日報を集計しやすくする
作業日報も、現場ではよく使われる記録です。
作業内容、作業時間、使用した材料、不具合、連絡事項などを記録することで、日々の業務を把握できます。
しかし、日報が紙や自由記述だけで管理されていると、後から集計しにくいことがあります。
たとえば、
・誰がどの作業をしたのか
・どの作業に時間がかかっているのか
・不具合がどの工程で多いのか
・残業が増えている原因は何か
・同じトラブルが繰り返されていないか
こうした情報を確認したくても、日報を一枚ずつ見直すのは大変です。
Codexを使えば、日報の入力項目を整理し、集計しやすい形式にするツールを作ることができます。
たとえば、
・作業者
・作業日
・作業区分
・作業時間
・設備名
・製品名
・異常の有無
・備考
といった項目を決めて入力できるようにします。
自由に文章を書く部分を残しつつ、集計したい項目は選択式にすることで、後から分析しやすくなります。
「記録を残す」だけでなく、「記録を活用できる形にする」ことが業務改善につながります。
例3:写真と記録をひも付ける
現場では、写真を使った記録も重要です。
設備の異常、不具合箇所、作業前後の状態、完成状況、改善前後の比較など、写真があると状況を伝えやすくなります。
しかし、写真管理には次のような問題があります。
・スマートフォンに写真が残ったままになる
・ファイル名がIMG_0012.jpgのような名前で中身がわからない
・どの案件の写真かわからなくなる
・日報や報告書と写真が別々に保存されている
・写真を探すのに時間がかかる
Codexを使えば、写真ファイルの名前を一定のルールで変更したり、写真の保存先を整理したり、写真一覧表を作ったりできます。
たとえば、
2026-07-12_設備点検_第1ライン_異音確認_01.jpg
のように、日付、内容、場所、連番を入れたファイル名にすると、後から探しやすくなります。
また、作業日報の番号と写真ファイル名をひも付ける一覧表を作れば、記録と写真をセットで管理しやすくなります。
写真は「撮ること」よりも「後から使える状態にすること」が大切です。
例4:在庫確認を簡単にする
在庫管理も、中小企業で負担になりやすい業務です。
部品、材料、消耗品、備品など、会社によって管理するものはさまざまです。
在庫管理がうまくいかないと、
・必要な部品が足りない
・同じものを重複して発注する
・古い在庫が残り続ける
・誰が使ったかわからない
・棚卸しに時間がかかる
といった問題が起きます。
大規模な在庫管理システムを導入するほどではなくても、簡単な在庫確認ツールがあるだけで業務が楽になる場合があります。
Codexを使えば、
・品名
・品番
・保管場所
・現在数
・最低在庫数
・入庫日
・出庫日
・担当者
などを入力できる簡単な管理表や入力フォームを作ることができます。
また、最低在庫数を下回ったものを一覧で表示する仕組みも考えられます。
中小企業では、まず「何が、どこに、どれだけあるか」を見える化することが重要です。
例5:新人・外国人スタッフ向けの作業確認ツール
人手不足の中で、新人や外国人スタッフを受け入れる会社も増えています。
そのときに重要になるのが、教育の仕組みです。
作業を口頭で説明するだけでは、教える人によって内容が変わったり、教え漏れが出たりすることがあります。
特に外国人スタッフの場合、日本語の理解度に差があることもあります。
そのため、作業手順をわかりやすく整理し、確認しながら進められる仕組みがあると安心です。
Codexを使えば、作業手順のチェックリストや教育進捗管理表を作ることができます。
たとえば、
・作業名
・説明日
・説明担当者
・理解度
・実施確認
・注意事項
・次回確認日
などを記録できる管理表です。
また、ChatGPTを使って作業内容をやさしい日本語に整理し、Codexで確認用のチェックリストや入力フォームを作る、という組み合わせも有効です。
外国人スタッフにとってわかりやすい仕組みは、日本人の新人にとってもわかりやすい仕組みになります。
つまり、外国人雇用をきっかけに職場の仕組みを整えることは、会社全体の業務改善にもつながります。
小さなツールを作る前に確認したいこと
Codexを使って現場向けのツールを作る前に、まず確認したいことがあります。
それは、「何を便利にしたいのか」をはっきりさせることです。
たとえば、点検表をデジタル化したい場合でも、目的はいろいろあります。
・紙を減らしたい
・記入漏れを防ぎたい
・あとで検索しやすくしたい
・異常件数を集計したい
・写真とひも付けたい
・担当者ごとの確認状況を見たい
・管理者が確認しやすくしたい
目的が違えば、作るツールの形も変わります。
そのため、最初に次のような点を整理することが大切です。
・今の作業のどこに時間がかかっているか
・どこでミスや漏れが起きやすいか
・誰が使うツールなのか
・パソコンで使うのか、タブレットで使うのか
・紙の運用を残す必要があるか
・入力したデータを何に使いたいのか
・管理者はどのように確認したいのか
この整理をせずにツールを作ると、現場で使いにくいものになってしまうことがあります。
AI活用では、ツールを作ること自体が目的ではありません。
現場の負担を減らし、業務を回しやすくすることが目的です。
最初は「1つの困りごと」から始める
現場改善というと、あれもこれも改善したくなるかもしれません。
しかし、最初から大きな仕組みを作ろうとすると、途中で止まってしまうことがあります。
特にCodexを初めて使う場合は、まず一つの困りごとに絞ることをおすすめします。
たとえば、
・点検表の記入漏れを減らしたい
・日報を集計しやすくしたい
・写真ファイルを探しやすくしたい
・教育記録を一覧で見たい
・在庫数を簡単に確認したい
このように、目的を一つに絞ります。
そして、まずは試作品を作ってみます。
実際に使ってみて、現場の意見を聞きながら直していきます。
最初から完璧なものを作る必要はありません。
むしろ、小さく作って、使ってみて、改善する。
この流れが、中小企業のAI活用には向いています。
現場に合わせて直していくことが大切
業務ツールは、作って終わりではありません。
実際に使ってみると、必ず改善したい点が出てきます。
・入力項目が多すぎる
・選択肢が現場の言葉と合っていない
・スマートフォンでは使いにくい
・印刷したときに見づらい
・管理者が確認したい情報が足りない
・現場では別の順番で作業している
・外国人スタッフには表現が難しい
こうした意見を反映して、少しずつ使いやすくしていくことが大切です。
Codexのよいところは、修正や改善を試しやすいことです。
「この項目を追加したい」
「この列を非表示にしたい」
「入力漏れがあったら警告したい」
「集計表を自動で作りたい」
「ファイル名をこのルールに変えたい」
このような改善を、実際の業務に合わせて進めることができます。
中小企業にとって必要なのは、自社の現場に合った道具です。
立派なシステムよりも、毎日使える小さな道具のほうが効果を発揮することがあります。
情報管理と安全性も忘れない
現場の記録には、会社にとって重要な情報が含まれることがあります。
たとえば、
・顧客名
・取引先名
・製品情報
・不具合内容
・設備情報
・写真
・従業員情報
・外国人スタッフの個人情報
・在留資格や雇用関係の情報
こうした情報を扱う場合は、AIの使い方に注意が必要です。
Codexを使う際には、実際の個人情報や機密情報をそのまま入力しないようにすることが大切です。
最初はサンプルデータや仮のデータでツールを作り、仕組みを確認してから実データで運用するほうが安全です。
また、作成したツールを業務で使う前には、必ずテストが必要です。
・正しく保存されるか
・入力漏れがないか
・集計結果が合っているか
・必要な人だけが見られる状態になっているか
・データの保存場所は適切か
・誤って消してしまわない仕組みになっているか
便利なツールでも、管理が不十分だとトラブルにつながることがあります。
AI活用では、効率化と安全性をセットで考えることが重要です。
行政書士として、現場の小さな改善を伴走します
私は行政書士として、外国人雇用や中小企業支援の視点を大切にしながら、Codexを活用した業務改善の伴走サポートに取り組んでいます。
外国人スタッフを雇用する中小企業では、手続きや書類管理だけでなく、現場で安心して働ける仕組みづくりも大切です。
たとえば、
・作業手順書をやさしい日本語で整える
・教育チェックリストを作る
・作業理解度を確認できる表を作る
・面談記録を整理する
・在留期限や雇用契約の更新時期を管理する
・現場で使いやすい入力フォームを作る
・紙やExcelで行っている作業を見直す
こうした取り組みは、外国人スタッフだけでなく、日本人スタッフや新人教育にも役立ちます。
ただし、Codexを初心者が一人で使いこなすには、つまずくことも多くあります。
どの業務から始めればよいのか。
AIにどう指示すればよいのか。
作られたツールが正しく動いているか。
現場で使いやすい形になっているか。
情報管理に問題がないか。
こうした点を確認しながら進めるには、伴走する支援が役立ちます。
私は、AIを導入して終わりではなく、現場の困りごとを一緒に整理し、小さな業務ツールとして形にし、実際に使えるように改善していくところまでサポートしていきます。
まとめ
中小企業の現場には、日報、点検表、写真整理、在庫確認、教育記録など、日々の「ちょっと面倒」な作業がたくさんあります。
一つひとつは小さな作業でも、積み重なると大きな負担になります。
人手不足の時代には、こうした小さな手間を減らしていくことが重要です。
Codexを活用すれば、紙の点検表を入力フォームにしたり、日報を集計しやすくしたり、写真を整理したり、在庫確認表を作ったり、教育チェックリストを整えたりすることができます。
大切なのは、最初から大きなシステムを作ろうとしないことです。
まずは、現場で困っている作業を一つ見つける。
小さなツールを作ってみる。
実際に使ってみる。
現場の声を聞いて直していく。
この繰り返しが、中小企業に合ったAI活用につながります。
次回は、作業手順書やマニュアル作成を効率化する方法について、新人教育や外国人スタッフへの説明にも役立つAI活用を考えていきます。
