「気をつけて」では伝わらない
やさしい日本語で安全指示を伝えるコツ
製造現場では、
「気をつけて」
「ちゃんと確認して」
「異常があったら報告して」
といった言葉をよく使います。
日本人同士なら通じることもありますが、外国人社員にとっては、何をどうすればよいのか分かりにくい表現です。
安全に関する指示は、できるだけ短く、具体的に、一つずつ伝えることが大切です。
「気をつけて」を具体的にする
たとえば、
「足元に気をつけてください」
ではなく、
「ここは滑ります」
「ゆっくり歩いてください」
と伝えます。
また、
「機械に気をつけて」
ではなく、
「この黄色い線の中に入りません」
「機械が動いているときは、手を入れません」
と、行動まで具体的に伝えます。
安全指示では、「注意してください」だけで終わらせず、何が危ないのか、何をしてはいけないのかまで伝えることがポイントです。
一つの文を短くする
長い説明も、理解しにくくなる原因です。
たとえば、
「異常が発生した場合は速やかに設備を停止して、班長に報告してください」
という文章は、少し分けるだけで分かりやすくなります。
「機械がおかしいです」
「機械を止めます」
「自分で直しません」
「田中さんを呼びます」
一文に一つの内容だけを入れると、聞き取りやすくなります。
難しい言葉を言い換える
現場では、専門用語や難しい言葉が多く使われます。
たとえば、
「保護具を着用してください」
よりも、
「この仕事では、安全メガネをつけます」
の方が具体的です。
「立入禁止」も、
「ここに入りません」
と説明すれば、意味が伝わりやすくなります。
専門用語をすべて使わないという意味ではありません。
仕事で必要な言葉は覚えてもらう必要があります。
その場合は、
「これを『保護具』と言います。安全メガネも保護具です」
というように、実物を見せながら言葉と意味を結び付けると理解しやすくなります。
「大丈夫?」ではなく具体的に聞く
理解度の確認でも、やさしい日本語が役立ちます。
「大丈夫ですか?」
と聞くと、「大丈夫です」と答えてしまうことがあります。
代わりに、
「このランプが赤くなったら、どうしますか?」
「この場所に入ってもいいですか?」
「機械が止まったら、誰を呼びますか?」
と具体的に聞きます。
本人が自分の言葉や動作で答えられれば、理解できているか確認しやすくなります。
やさしい日本語は安全のための道具
やさしい日本語は、外国人社員に親切にするためだけのものではありません。
安全指示を正確に伝えるための道具です。
短くする。
具体的にする。
一つずつ伝える。
実物を見せる。
本人に確認する。
この5つを意識するだけでも、現場での伝わり方は大きく変わります。
そして、このような説明は、日本人の新人社員にも分かりやすいものです。
安全教育を「分かる人だけが分かる説明」にせず、誰にでも伝わる形にしていくことが、事故防止につながります。
次回は、言葉だけに頼らず、写真・動画・実演を使って安全を伝える方法について紹介します。

