外国人社員の入社準備―在留カード・就労資格・雇用契約の確認ポイント
外国人を採用するとき、「在留カードを持っているから働けるだろう」「前の会社でも働いていたから問題ないだろう」と考えていませんか。
外国人は、在留カードを持っていれば、どの会社でも、どのような仕事でもできるわけではありません。
連載「外国人雇用の年間実務カレンダー」では、採用から入社、在留期間の更新、退職まで、会社が行うべき確認と手続きを時系列で解説します。
第1回は、採用決定から入社日までに確認したいポイントを取り上げます。
1.在留カードの原本を確認する
外国人の採用を検討するときは、在留カードの原本を提示してもらい、次の項目を確認します。
- 氏名・生年月日・国籍
- 在留資格
- 在留期間の満了日
- 就労制限の有無
- 裏面の資格外活動許可欄
- 住所・在留カード番号
コピーやスマートフォンの画像だけではなく、原本で本人確認をすることが基本です。
在留カードを持っていることと、自社で予定する仕事ができることは別問題です。カード表面の「就労制限の有無」も必ず確認しましょう。
2.在留資格と仕事内容が合っているか
「在留資格に基づく就労活動のみ可」と記載されている場合は、その在留資格で認められた仕事に限られます。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の外国人を製造業で採用する場合、設計、生産技術、品質管理などの専門的業務と、製造ラインでの単純作業とでは、在留資格上の扱いが異なります。
前の会社も製造業だったから大丈夫とは限りません。会社の業種だけでなく、実際に担当する仕事内容まで確認することが重要です。
「特定活動」の場合は、パスポートに添付された「指定書」も確認します。同じ特定活動でも、認められている活動は一人ひとり異なります。
3.留学生などは資格外活動許可を確認する
「留学」や「家族滞在」は、原則として就労を目的とする在留資格ではありません。
ただし、資格外活動許可を受けていれば、許可された範囲で働くことができます。一般的な包括許可では、原則として週28時間以内などの制限があります。
複数の勤務先で働いている場合は、すべての勤務先の労働時間を合計して判断します。面接時に、ほかの勤務先と勤務時間も確認しておきましょう。
4.在留期限を会社でも管理する
採用時には、次の3つの日付を並べて確認します。
- 採用決定日
- 入社予定日
- 在留期間の満了日
入社直後に在留期限を迎える場合は、更新申請の準備が必要です。
在留期限の管理を本人だけに任せず、会社の管理台帳やカレンダーにも登録しましょう。満了日の数か月前に担当者へ通知される仕組みにしておくと安心です。
また、出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」や「在留カード等読取アプリケーション」を利用して、カードの有効性を確認する方法もあります。
5.雇用契約書と実際の仕事を一致させる
雇用契約書や労働条件通知書には、就業場所、仕事内容、勤務時間、休日、賃金、社会保険などを具体的に記載します。
特に注意したいのが仕事内容です。
在留資格の申請書、採用理由書、雇用契約書、実際の配属先で、仕事内容が食い違わないようにしましょう。
また、日本語の契約書を渡して署名をもらうだけでは、十分に理解されていない可能性があります。給与から控除される税金や社会保険料、残業代、試用期間などは、本人が理解できる言語や、やさしい日本語で説明することが大切です。
必要な在留資格の許可が出ていない場合は、許可前に働かせないよう注意してください。「研修だけ」「見学だけ」のつもりでも、実際の作業を伴えば就労と判断される可能性があります。
入社前チェックリスト
採用手続きを担当者の経験だけに頼らず、チェックリストにしておきましょう。
- 在留カードの原本と本人を確認した
- 在留資格と就労制限を確認した
- 資格外活動許可や指定書を確認した
- 在留期間の満了日を確認した
- 実際の仕事内容を整理した
- 在留資格と仕事内容の適合性を確認した
- 雇用契約書を本人が理解できる方法で説明した
- 必要な許可が出る前に働かせないことを確認した
確認日と担当者も記録しておくと、後から確認が必要になったときに役立ちます。
まとめ
外国人社員の採用では、在留カードを見るだけでなく、在留資格と実際の仕事内容が合っているかを確認することが最も重要です。
採用前の段階で確認の仕組みを整えておけば、不法就労や契約上のトラブルを防ぐことにつながります。
「この在留資格で、この仕事を任せてよいのか分からない」という場合は、自己判断で採用を進めず、事前に専門家へ相談しましょう。
次回は、外国人社員の入社時に必要となる社会保険、雇用保険、外国人雇用状況の届出について解説します。
※本記事は一般的な情報を提供するものです。個別の採用や在留資格については、最新の公的情報を確認し、必要に応じて専門家へご相談ください。

