外国人社員を迎える入社時の実務―社会保険・雇用保険・外国人雇用状況届出
前回は、外国人社員を採用する前に確認したい在留カード、就労資格、雇用契約について解説しました。
今回は、入社時に会社が行う手続きを取り上げます。
外国人社員にも、原則として日本人社員と同じ労働・社会保険関係のルールが適用されます。ただし、外国人雇用特有の届出もあるため、手続き漏れに注意が必要です。
1.社会保険の加入手続き
健康保険・厚生年金保険の適用事業所で、加入要件を満たす外国人を雇用した場合は、日本人と同様に加入手続きを行います。
「外国人だから加入しなくてもよい」「数年後に帰国する予定だから厚生年金は不要」という扱いはできません。
会社は、原則として入社から5日以内に「被保険者資格取得届」を日本年金機構へ提出します。
手続きに必要となるため、入社前後に次の情報を確認しておきましょう。
- マイナンバー
- 基礎年金番号
- 氏名・生年月日
- 住所
- 扶養家族の有無
- 外国籍であることに関する必要事項
氏名の表記は、在留カードなどの公的書類と統一することが大切です。
2.雇用保険の加入手続き
雇用保険の加入要件を満たす場合も、国籍にかかわらず加入対象となります。
会社は「雇用保険被保険者資格取得届」を、原則として雇い入れた月の翌月10日までにハローワークへ提出します。
外国人の場合は、通常の記載事項に加えて、次の情報も必要です。
- 在留資格
- 在留期間
- 在留カード番号
- 国籍・地域
- 資格外活動許可の有無
在留カードを見ながら、正確に記載しましょう。
3.外国人雇用状況の届出
外国人を雇い入れた事業主には、「外国人雇用状況の届出」が義務付けられています。
対象は、原則として在留資格が「外交」「公用」の人と特別永住者を除く外国人です。正社員だけでなく、パートやアルバイトを雇用する場合も確認が必要です。
雇用保険に加入する外国人については、「雇用保険被保険者資格取得届」に必要事項を記載して提出することで、外国人雇用状況の届出も行ったことになります。
雇用保険に加入しない外国人については、「外国人雇用状況届出書」を原則として雇入れ日の翌月末日までに提出します。
同じ内容を二重に届け出る必要はありません。まず、雇用保険の加入対象になるかを確認しましょう。
4.労働条件をもう一度説明する
雇用契約書を渡して署名をもらっただけでは、本人が内容を十分に理解していない場合があります。
入社時には、次の項目を改めて説明しましょう。
- 給与の金額と支払日
- 税金や社会保険料などの控除
- 労働時間と休憩時間
- 残業と残業代
- 休日・有給休暇
- 試用期間
- 遅刻・欠勤時の連絡方法
- 退職するときの手続き
特に、求人票に記載された給与額と実際の手取り額の違いは、トラブルになりやすいポイントです。給与から何が差し引かれるのか、本人が理解できる言語や、やさしい日本語で説明することが望まれます。
5.入社初日に確認したいこと
手続きに加えて、安心して働ける環境を整えることも重要です。
- 緊急連絡先を確認する
- 社内の相談担当者を紹介する
- 就業規則を説明する
- 安全ルールを説明する
- 体調不良や労災時の連絡方法を伝える
- 給与明細の見方を説明する
- 在留期限を会社の管理表へ登録する
製造現場では、最初から専門用語だけで説明せず、写真、実物、実演などを組み合わせましょう。
説明した後に「分かりましたか」と聞くだけでなく、本人に作業方法を実演してもらうなど、実際に理解できているか確認することが大切です。
入社時チェックリスト
- 社会保険の加入対象を確認した
- 雇用保険の加入対象を確認した
- 外国人雇用状況の届出方法を確認した
- 在留カードの情報を正確に記録した
- 労働条件と給与控除を説明した
- 緊急連絡先を確認した
- 相談担当者を紹介した
- 安全教育を実施した
- 在留期限を管理表へ登録した
- 各手続きの期限と担当者を記録した
まとめ
外国人社員の入社時には、日本人社員と共通する社会保険・雇用保険の手続きに加えて、外国人雇用状況の届出が必要です。
重要なのは、手続きを提出して終わりにしないことです。
給与、社会保険、職場のルール、相談先などを本人が理解できる方法で説明することが、その後のトラブル防止と定着につながります。
次回は、入社後に会社が確認したい在留期限、仕事内容、労働条件などの定期管理について解説します。
※本記事は一般的な情報を提供するものです。実際の手続きについては最新の情報を確認し、社会保険労務士、行政書士などの専門家や関係機関へご相談ください。
参考:

