外国人社員を現場の戦力に育てる―製造業の教育・評価・改善活動―5

外国人社員を現場の戦力に育てる【第5回】

日本語力と仕事の能力を分けて評価する

―外国人社員が納得できる公平な評価表の作り方―

外国人社員を評価するとき、無意識のうちに「日本語が上手かどうか」を重視していないでしょうか。

日本語での受け答えが上手な社員は、仕事もできるように見えやすくなります。反対に、日本語で自分の考えを十分に説明できない社員は、実際の技能より低く評価されることがあります。

しかし、日本語力と仕事の能力は同じではありません。

今回は、外国人社員の技能や成長を適切に評価し、本人も納得できる評価制度をつくる方法を解説します。

「日本語が上手=仕事ができる」とは限らない

日常会話が上手でも、作業手順や品質基準を正しく理解しているとは限りません。

反対に、日本語での説明は苦手でも、正確で安全な作業ができ、不良や設備の異常に早く気づける社員もいます。

日本語力だけで評価すると、次のような問題が起こります。

  • 高い技能を持つ社員を正しく評価できない
  • 本人が昇給や昇進の基準に納得できない
  • 日本語の間違いを恐れて発言しなくなる
  • 評価者の印象によって点数が変わる
  • 外国人社員の意欲や定着率が低下する

日本語力は必要な評価項目の一つですが、仕事の能力とは分けて評価することが重要です。

仕事の能力を項目別に評価する

「仕事ができる」「まだ一人前ではない」といった曖昧な評価では、本人に改善点を説明できません。

製造現場では、仕事の能力を次のように分けて評価すると分かりやすくなります。

評価分野確認する内容
作業技能正しい手順で作業できるか
品質良品・不良品を判別できるか
安全保護具や安全ルールを守れるか
生産性決められた時間で作業できるか
異常対応異常を発見し、作業を止められるか
報告・連絡必要な相手へ適切に報告できるか
協働周囲と協力して仕事ができるか
改善問題点に気づき、改善へ参加できるか
日本語業務に必要な指示や用語を理解できるか

日本語力は独立した項目にし、作業技能や品質、安全の評価に必要以上の影響を与えないようにします。

日本語力も「仕事に必要な範囲」で見る

日本語力を評価するとき、日常会話の流暢さや漢字の読み書きだけで判断する必要はありません。

製造現場で重要なのは、業務に必要な日本語を理解し、使えることです。

例えば、次のような項目を確認します。

□ 作業指示を理解できる
□ 数字・時間・数量を聞き取れる
□ 危険を知らせる言葉を理解できる
□ 「止める・呼ぶ・待つ」ができる
□ 異常の内容を簡単に報告できる
□ 分からないときに質問できる
□ 作業記録に必要事項を記入できる

日本語能力試験のレベルが高くても、現場用語を知らない場合があります。反対に、資格を持っていなくても、担当業務で必要な日本語を十分に使える人もいます。

試験結果だけでなく、実際の仕事の場面で評価しましょう。

評価基準を具体的にする

評価を「良い・普通・悪い」だけにすると、評価者の感覚に左右されます。

例えば、作業技能を4段階で評価する場合は、次のように基準を決めます。

レベル1:指導者の説明と補助が必要
手順を確認しながら、一緒に作業する段階です。

レベル2:手順書を見ながら作業できる
質問や確認は必要ですが、基本的な作業を行えます。

レベル3:一人で正しく作業できる
安全・品質基準を守り、安定して作業できます。

レベル4:他の社員に教えられる
作業の理由や注意点を説明し、後輩を指導できます。

「一人でできる」「他の人に教えられる」など、実際の行動で判定できる基準にすることがポイントです。

日本人社員と共通の基準を使う

外国人社員専用の低い基準を設けると、本人の成長を妨げ、日本人社員から不公平だと思われる可能性があります。

基本的な評価項目は、日本人社員と外国人社員で共通にします。

ただし、説明方法には配慮が必要です。

  • 評価項目をやさしい日本語で説明する
  • 必要に応じて翻訳を用意する
  • 写真や具体例で基準を示す
  • 面談で本人の自己評価も聞く
  • 次に目指すレベルを明確にする

評価の基準を変えるのではなく、基準を理解できるように伝え方を工夫します。

評価結果を育成につなげる

評価は、順位や賃金を決めるためだけのものではありません。

本人の強みと課題を明らかにし、次に何を学ぶかを決めるために活用します。

面談では、次の順番で説明すると伝わりやすくなります。

  1. できるようになったことを伝える
  2. 評価の根拠となった具体的な行動を示す
  3. 改善が必要な項目を一つずつ説明する
  4. 次回までの目標を決める
  5. 会社が行う支援を確認する

例えば、「もっと日本語を頑張ってください」では、何をすればよいか分かりません。

異常が出たときに、「どの設備で」「何が起きたか」を班長へ報告できるようにしましょう。

このように、仕事上の行動として目標を示します。

公平な評価のチェックリスト

□ 日本語力と作業能力を分けて評価している
□ 評価項目が具体的な行動で示されている
□ 評価者による判定の違いを確認している
□ 日本人社員と共通の基本基準を使っている
□ 本人が理解できる方法で基準を説明している
□ 評価結果の具体的な根拠を伝えている
□ 本人の自己評価や希望も聞いている
□ 次回までの目標を明確にしている
□ 評価結果を教育や配置に活用している

まとめ

外国人社員を公平に評価するためには、日本語の上手さと仕事の能力を分けて考える必要があります。

作業技能、品質、安全、生産性、異常対応、協働などを項目別に評価すれば、本人の強みと課題が見えやすくなります。

また、評価基準を具体的な行動で示すことで、評価者によるばらつきを減らし、本人にも結果を説明しやすくなります。

何を身につければ次の段階へ進めるのかが分かれば、外国人社員も将来の目標を持って働けます。

公平な評価制度は、外国人社員の意欲と定着を高めるだけでなく、日本人社員を含めた会社全体の人材育成にも役立ちます。

次回はシリーズ最終回として、外国人社員を「教えられる人材」から「現場を改善できる人材」へ育てる方法を解説します。

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見よう見まねでまずはホームページを立ち上げてみました。これから少しずつレベルアップしていくと思うので、長い目で見てやってください。

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