第6回 「教えられる人材」から「改善できる人材」へ
外国人社員が決められた作業を一人でできるようになったら、育成は終わりでしょうか。
製造現場で本当の戦力になるためには、作業を覚えるだけでなく、問題に気づき、自分の意見を伝え、改善に参加できる力を育てることが大切です。
小さな「気づき」を拾う
外国人社員は、日本人社員とは異なる経験や視点を持っています。そのため、日本人が当たり前だと思っている作業の中に、疑問や改善点を見つけることがあります。
しかし、次のように感じていると、気づきがあっても発言できません。
- 間違ったことを言ったら恥ずかしい
- 日本語でうまく説明できない
- 上司に意見を言ってはいけない
- 提案しても聞いてもらえない
まずは、気軽に意見を出せる雰囲気をつくることが必要です。
改善提案は簡単な質問から
最初から改善提案書を書かせる必要はありません。日々の声かけから始めましょう。
□ この作業で困ることはありますか
□ 危ないと思うところはありますか
□ もっと早くできる方法はありますか
□ 道具の置き場所は分かりやすいですか
□ 新しく入った人に教えるなら、何を変えますか
日本語だけで説明することが難しい場合は、写真や図、実物を使っても構いません。大切なのは、日本語の正確さではなく、現場の気づきを引き出すことです。
提案をそのままにしない
せっかく意見を出しても、会社から何の反応もなければ、社員は次第に発言しなくなります。
採用できる提案は、小さなものでも実行します。採用できない場合も、「なぜ難しいのか」を本人に伝えましょう。
さらに、朝礼などで提案者を紹介すると、「自分も改善に参加してよい」という意識が現場全体に広がります。
教える役割が成長につながる
仕事を一定程度習得した外国人社員には、新しく入った外国人社員への説明や作業確認を任せる方法もあります。
人に教えることで、自分の作業を整理し、安全や品質について改めて考えるようになります。将来的には、班長やリーダー候補として育成することも可能です。
ただし、通訳だけを任せきりにしないことが重要です。指導や雇用管理の責任は、あくまで会社側にあります。
まとめ
外国人社員を現場の戦力に育てるためには、一方的に仕事を教えるだけでは十分ではありません。
本人の気づきを聞き、提案を受け止め、改善活動や後輩指導に参加してもらうことで、「教えられる人材」から「自ら考えて改善できる人材」へ成長していきます。
外国人社員の育成は、特別な制度をつくることではなく、日々の教え方、確認の仕方、評価の仕方を少しずつ見直すことから始まります。それは外国人社員だけでなく、日本人社員にとっても働きやすく、安全で強い現場づくりにつながります。

