外国人雇用の年間実務カレンダー【第5回】

外国人社員が退職するときの実務―転職・帰国時の届出と確認事項

外国人社員が退職するとき、会社は通常の退職手続きに加えて、外国人雇用特有の届出や確認を行う必要があります。

退職後に転職するのか、帰国するのかによって、本人に案内する内容も異なります。

今回は、退職の申し出から最終出勤日、退職後までに会社が確認したい事項を解説します。

1.退職後の予定を確認する

外国人社員から退職の申し出があったら、まず退職後の予定を確認します。

  • 日本国内で転職する
  • 転職先を探す
  • 母国へ帰国する
  • 進学や起業など別の活動を始める
  • 家族の扶養に入る

退職後の予定によって、必要な在留手続きが異なります。

会社が本人の転職を不当に妨げることはできませんが、必要な手続きを案内することは、その後のトラブル防止につながります。

2.外国人雇用状況の届出を行う

外国人が離職したときは、会社からハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行います。

雇用保険の被保険者だった場合は、「雇用保険被保険者資格喪失届」に必要事項を記載して提出することで、外国人雇用状況の届出も行ったことになります。

雇用保険に加入していなかった外国人については、原則として離職日の翌月末日までに「外国人雇用状況届出書」を提出します。

対象となるのは、在留資格が「外交」「公用」の人と特別永住者を除く外国人です。

届出を忘れないよう、退職手続きのチェックリストに組み込んでおきましょう。

3.社会保険・雇用保険の手続きを行う

健康保険・厚生年金保険に加入していた場合は、原則として退職日の翌日から5日以内に「被保険者資格喪失届」を日本年金機構へ提出します。

雇用保険についても、「雇用保険被保険者資格喪失届」を期限内にハローワークへ提出します。

本人には、次の書類を確実に渡しましょう。

  • 離職票(本人が希望する場合など)
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票
  • 健康保険資格喪失証明書
  • 退職証明書(本人から請求があった場合)

帰国日が迫っていると、退職後に書類を送付できないことがあります。退職前に、国内の連絡先や帰国後の送付先を確認しておくことが大切です。

4.本人が行う入管への届出を案内する

就労系の在留資格を持つ外国人が会社を退職した場合、在留資格によっては、本人が出入国在留管理庁へ「所属機関に関する届出」を行う必要があります。

対象となる場合は、原則として退職から14日以内に届け出ます。国内で転職した場合には、新しい会社への所属についても届出が必要になることがあります。

これは本人が行う手続きですが、会社からも期限と届出方法を案内するとよいでしょう。

なお、退職したからといって、在留期限が自動的に延長されたり、現在の在留資格で別の仕事を自由にできたりするわけではありません。

転職先で予定する仕事が、現在の在留資格で認められるかも確認が必要です。

5.帰国する場合の税金と年金

帰国する外国人については、税金や年金の説明も必要です。

住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職や帰国後も納付が必要になる場合があります。未納のまま帰国しないよう、給与からの一括徴収や納税管理人の選任などについて、会社の担当者や市区町村へ確認しましょう。

厚生年金保険に一定期間加入していた外国人は、帰国後に「脱退一時金」を請求できる場合があります。

会社が請求手続きを行うものではありませんが、日本年金機構の案内を渡すなど、本人が制度を確認できるようにしておくと親切です。

6.社宅・貸与品・給与を精算する

会社が社宅や寮、作業服、工具、スマートフォンなどを貸与している場合は、退職日までに返却と精算を行います。

  • 社宅や寮の退去日
  • 家賃・水道光熱費
  • 作業服・保護具
  • 社員証・入館証
  • 鍵・カードキー
  • パソコン・スマートフォン
  • 工具・備品
  • 最終給与と未払い残業代
  • 有給休暇の扱い

給与から費用を差し引く場合は、会社の判断だけで行わず、法令、労使協定、本人との合意などを確認する必要があります。

また、会社がパスポートや在留カードを預かり続けることは避け、原本は本人が管理するようにしましょう。

退職時チェックリスト

  • 退職日と最終出勤日を確認した
  • 退職後の予定と連絡先を確認した
  • 外国人雇用状況の届出を行った
  • 社会保険・雇用保険の資格喪失手続きを行った
  • 本人に必要書類を交付した
  • 入管への届出について案内した
  • 住民税や年金について案内した
  • 社宅・貸与品を精算した
  • 最終給与を確認した
  • 退職後の書類送付先を確認した

まとめ

外国人社員が退職するときは、会社の手続きと本人の在留手続きを分けて整理することが重要です。

会社は、社会保険、雇用保険、外国人雇用状況の届出を期限内に行います。一方、本人には、所属機関に関する届出や転職・帰国後の手続きについて案内します。

退職時の対応が丁寧であれば、届出漏れや金銭トラブルを防ぐだけでなく、外国人社員との良好な関係を保つことにもつながります。

次回はシリーズの総まとめとして、採用から退職までに会社が確認する事項を「12か月実務チェックリスト」に整理します。


※本記事は一般的な情報を提供するものです。社会保険、税金、在留資格などの手続きは個別の状況によって異なります。最新の公的情報を確認し、必要に応じて各分野の専門家へご相談ください。

参考:

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